少女漫画幻想を持ち続けるから20代後半で不倫に走ることになる

【川崎】あと、大企業に勤めていたり、企業で役職についている女性だったら、パートナーにフリーランスで在宅勤務の男性を選ぶのは、とてもいいと思いますよ。

――私もそう思います。「妻が大黒柱で、夫が融通が利く立場」というカップルがもっと世の中に増えたほうがいいと思う。でも仕事がデキる女性は、一般的に、同じく企業に勤めていて、しかも自分より稼ぐ男性、自分より仕事ができる男性を選ぶことが多いですよね。

【川崎】そうなんです。でもそういう相手を選ぶと、自分が馬車馬のように働いて馬車馬のように家事をやらなければいけなくなる。「俺の方が忙しい」「私の方が!」って、どっちがブラックかを競い合う夫婦になってしまう。

【河崎】野田聖子さんがおっしゃっていたことなんですが「自分よりスペックがいい男性を選びたいのは、自分たちの中に少女漫画幻想があるからだ」って。スペックが自分より少しでも上じゃないと恋心を抱けない。抱かれたくない。そういう幻想が女性たちの中にどうしてもあるのが20代なんだけど、30代になると外していける。20代後半はまだ悩んでいる人が多いんじゃないかな。

【川崎】だから不倫が多くなっちゃうんですよね。

【河崎】多い多い。だって自分より仕事がデキる人を好きになるとしたら、そうならざるを得ない。

――仕事ができる男性は、年を取る前に大抵結婚してしまいますからね。

【河崎】そう。自分よりスペックが上の人しか好きになれないという幻想があったら、魅力を感じるのはそりゃ、そこ(既婚者)になってしまいますよね。

――環さんは旦那さんの転勤で海外に住んでいた時期も長いですが、どうやって子育てしながら仕事を続けてきたのでしょうか。

【河崎】物を書くって人とのつながりなんですよね。誰かからトピックを与えてもらって、それに対して打ち返す……これを繰り返し、続けてきたと思っています。ほそぼそと。人に育ててもらった感じはあります。

――キャリアを切らずに働き続けるコツは?

【河崎】SNSなどで人間関係を切らさなかったのが大きかったと思います。あとは、「こういう本を見つけました」とか「これは翻訳できるかも」「こういう作者と知り合った」とか、常に日本の編集者や出版社に向けてメールを送っていました。企画としてはなかなか通らないんですけど、「スイスにいるはずなのに、なぜこんなに連絡を取ってくるんだろう」っていう存在感、プレゼンスを下げないようにしていました。「あいつ、うるせえなあ」と思われるくらい、“うるささ”を下げなかったっていうのはあるかもしれない。