企業文化を変えるのに、理論は通用しない

エイチ・アイ・エス(以下HIS)はゼロから私がつくってきた会社ですから、新卒を採用して同じ文化の中で育っていきます。しかし、2010年から社長に就任したハウステンボスは、文化がまったく違いました。私が行ったときは、18年間ずっと赤字で、10年ほど前に1回潰れ、また破綻の危機にありました。社員の多くが40歳以上。バックグランドはさまざまでしたが、ハウステンボスが本当に好きな人と、ゆっくり仕事をしたいという人が残っていました。

エイチ・アイ・エス会長 澤田秀雄氏

当初、ハウステンボスの社員は私のことを「また来た。どうせ2、3年で代わるんだろう」と斜めに見ていたでしょう。私が来るまでに8人、社長が代わっていたので仕方ありません。来る社長、来る社長、最初はいいことを言うけど、頑張っても給料は上がらないし、ボーナスも出ない。すっかり負け癖の文化がしみついていたのです。