【古澤】私も、内容をていねいに説明する文章を入れていた時期があったんだけど、「結局、どういうこと?」って聞かれちゃったりしてガックリ。書いてあるよーって思うんだけど、読んでもらえないんじゃしょうがない。今は、ビジュアル化したり、パッと見てすぐわかる資料作りを心がけています。

【深田】私が携わっている広告業界では複数枚にわたる企画書が多いのですが、それだと1枚ずつめくって、説明してと、プレゼンにすごく時間がかかる。ビッグプロジェクトの場合は、こうした紙芝居式の分厚い企画書がいいとは思うんです。ストーリーや世界観までも含めて表現しやすいから。ただ、もっとライトな企画のときには、断然1枚の企画書がおすすめ!

【古澤】企画書を1枚にすることで、スピード感をもって進められますよね。

【深田】スピード、違いますよね。資料を作る時間もそうだけど、プレゼンや会議の時間効率もよくなる。

【古澤】1枚のいいところは、なんといっても全体をズバッと俯瞰(ふかん)してみられるところ。「ここはこうしたい」「課題はここだね」など、クライアントからの意見も引き出しやすい。

【深田】まさにそう! コミュニケーションが広がっていくのは、圧倒的に1枚の資料のほうですね。分厚いパワポの企画書よりも、フィードバックされる情報量が格段に多いんです。

【吉井】会話がはずむというのは、営業ツールとしても大事なポイントです。

吉井亜衣さん/不動産会社勤務。個人向け投資用マンションの営業に、オリジナルのA4資料を活用。

【古澤】立て板に水のように、とうとうとしゃべり続ける営業マンって、ちょっと怖いもんね(笑)。

【深田】プレゼンが苦手、お客さまとの会話が盛り上がらない、っていう人ほど、1枚にシフトしたらいいと思います。読み上げるだけでは間がもたないから、絶対に補足情報をしゃべることになるし、相手も「これはどういうこと?」って聞いてくれます。

【吉井】そうした会話のなかで深いニーズを聞き出せたら、次回の商談にはよりよい提案ができますね。

【古澤】分厚い企画書を否定する気持ちはないけれど、1枚のほうが自分らしさが出るな、という気もしています。それはやっぱり資料や企画書のなかだけで完結せずに、コミュニケーションができるからなんでしょうね。