当たり前に話を聞いてもらえると思ってはいないか?

もう1つ、ぜひ知っておいてほしいことがあります。

通常、相手は、皆さんの話を聞く準備ができていないばかりか、その話を聞くこと自体に、合意していません。相手には相手の都合があります。相手がその時間にやろうと思っていたこともあるはずです。

つまり、相手は聞く準備ができておらず、「聞く姿勢」にもなっていないことが多々あります。そんな時に、いきなり話し始めるため、聞いてもらえないのです。ですので、何かを伝える前には、相手の合意をとることを考えます。

ではどうすればいいか? 「確認する」のです。

「これから○○について話したいのですが、よろしいでしょうか?」
「いま、営業戦略について相談させていただけますか?」

相手の携帯に電話をかけた時に、「今、よろしいでしょうか?」と尋ねる人は多いですね。それと同じ雰囲気で、テーマを伝えた後に、相手に確認をとる、合意をもらうべきです。

会議で発言する時も同じです。ビジネスでは、自分が求められていることについて伝えなければいけません。テーマを伝えればそれでいいということではなく、さらにそのテーマが求められているかの確認が必要です。「これから今回のトラブルについて、その背景からお伝えしたいのですが、テーマとして合致していますか?」という具合です。

この確認の段階を踏むことで、相手が求めていることとのすり合わせができ、「よく分からないことを、長々と話している人」になる危険性が下げられます。ぜひトライしてみてください。

木暮太一(こぐれ・たいち)
一般社団法人 教育コミュニケーション協会 代表。
学生時代から難しいことを簡単に説明することに定評があり、大学時代に自作で作った経済学の解説本が学内で爆発的にヒット。独自に磨いてきた「わかりやすく説明する」ノウハウに基づき、2013年に教育コミュニケーション協会を設立、「説明力養成講座」「マーケティング説明力養成講座」「キッズ作文トレーナー養成講座」で教え始める。現在、経済ジャーナリストとしてテレビ等メディアでの経済ニュース解説を行うほか、企業・大学・団体向けに多くの講演活動を行っている。