一筋縄ではいかない問題に悩む人には何が必要?

相手を力づける質問は、実際にはどのように使えるのでしょうか。会話例と共に見ていきましょう。今回の例は「チームメンバーのAさんが取引先とのやり取りで困っている」と聞いたリーダーが、Aさんの状況を尋ねるところからスタートします。

リーダー:Aさん、最近X社とのやり取りはどう? 何か困っていることはある?
A:はい、実はそのことでご相談したくて。ここ最近、何度も提案書を持参しているのですが、全然話が進んでいないのです。それで、どうしたらいいか困っています。
リーダー:なるほど、何度も通っているけど進展がないのだね。それはどうしてなのかな?
A:それがなぜなのかよく分からないのです……
リーダー:先方からはどんなことを言われているの?
A:それが毎回違うことを言われていて。大筋では商品を購入したいとは言ってくれているのですが、なかなか具体的な話に進みません。
リーダー:煮詰まっているみたいだね。これまでどんなふうに対応してきたの?
A:はい、X社からの要望には都度対応するようにしています。でも、言われたポイントについてクリアしているのに違うことを言われたり、以前説明した点についてもう1度説明してくれと言われたりするのです。

Aさんは確かに取引先とのやり取りで悩んでいるようです。本当の問題が何か分からないまま、翻弄されているようにも見えます。こうした時、過去や現在の状況を聞くだけでは何も分からず、状況は解決に向かないかもしれません。このように袋小路に迷い込んでいる時こそ、力を与える質問が必要なのです。