――さまざまなテイストの家具が揃っているのも大塚家具の強みですね。

家具という商品の特質と思いますが、その場で商品をお持ち帰りにならないショールーム方式は、お店に在庫を抱えずに済み、多くの商品を置くことができます。それは、小売でありながらショールームという形式ゆえに、都心であっても広大な面積で展開できるという、独自の業態が理由でもあるのですが。

いろんなテイストの家具があって個性がない、という見方があるかもしれません。しかし、何かに特化したワンテイストショップにはない、豊富な品揃えこそが弊社の個性と考えています。こんな家具が欲しいという方にも、どんな部屋にしたいかまだ決めていないという方にもお応えできます。

――2015年秋から冬にかけての「生まれ変わるための全館全品売りつくし」は、さらにチャレンジを仕掛ける予定の来年に向けた施策ですね。たとえば先ほど、家具を捨てるのはエコではない、とおっしゃいましたが、リセール市場なども視野に入れていますか。また、インバウンド需要に力を入れていく予定はありますか。

そうですね。すでに家具の買い取りとリユース事業を進めています。好みが変わることはあるでしょうし、1人暮らしと家族のいる暮らしでは、心地よい住まい環境も異なります。気に入っている家具であっても、不要になる場合があるでしょう。下取りは、捨てなくても手放せる方法として喜ばれます。また、良い家具が欲しいけれど、新品は手が出ない若い方などに「中古の良い家具を選ぶ」機会をご提供したいです。

中古市場が確立されれば、レンタル市場も拡大できると思います。中古やレンタルが一般的になると、家具と人との関係がもっと多様になる。それぞれの人にとって最適な方法で家具を選べる土壌を耕したいです。

インバウンド需要についても注力しています。特に中国のお客様の“爆買い”は家具にも及んでいて、日本で不動産を買われた方などがお買い求めになられます。家具の売買にはいろいろ制約がありますから、海外での店舗展開はまだ現実的ではありませんが、それもいずれ視野に入れてまいりたいと思います。

加えて、若手デザイナーや新しい才能とのコラボレーションもどんどん手掛けていきます。