そうやってありとあらゆる手を尽くして、いよいよ本番を迎えるときにも、心掛けたいことがあります。

1つは、いつ話すかというタイミング。私の経験から言うと、休み明けで忙しい月曜日の午前中には緊急以外、ストラテジックな話はしないほうがいい。ベストなのは金曜日。リラックスしているから、オープンに長期的な視野の話ができます。私の部下が月曜の午前にその手の話を持ち込んできたら「センスないな」と思っちゃいますね。

六本木にあるオフィスで、部下たち10人とのミーティング。今後の方針について意見を交わす。

2つ目は、相手が好む話の持っていき方を選ぶこと。人によって頭の整理の仕方が違うからです。イギリス人の上司に対しては、のっけからポイントに入ります。ビジネスチャンスとビジネスリスクを数字で示し、リスクの回避策の有無まで話すと、脈がある場合には質問がポンポン飛んでくる。彼は数字で理解するタイプで、浪花節的な話は受け付けないのです。

コミュニケーションってバックグラウンドとの対決のような要素が多分にあり、「スイートスポットはここ」などと相手の個性を把握することは大切だと思います。そこまで考え抜いて話をすれば、にじみ出る迫力におのずと聞く耳を持ってくれるでしょう。