両立できると確信していたのに……

【白河】私、この本を読んで思ったのですが、15人のみなさん、高学歴エリートで20代で結婚して出産して、しかも退職しても大丈夫な収入がある夫と結婚している。いわば勝ち組です。唯一誤算があるとしたら、「専業主婦向けの男性」と結婚していることだと思うんです。そういう男性は本当に専業主婦になりたい女性のためにとっておいてあげてほしいのに(笑)。大学の同級生の高学歴女性にさらわれてしまうんですね。

確かに1回大学を出ると同等以上の学歴の男性と出会うのは、高学歴女性ほど困難になるという現実はあります。大学時代の彼氏と早く結婚しようと思うのは、先の世代を見て何か反面教師的なものを感じていらっしゃるのかなと。

【中野】誰かを反面教師にしたとは思わないですが……高学歴で「大学時代の同級生を逃したら結婚相手はいないんじゃないかと思った」というような人はいますね。でもそうすると、教育段階の競争カルチャーが既にマッチョなんですよね。

私自身、バリバリやりたい男女の友達が多く、男女ともに高尚な議論ができるパートナーがカッコいいというようなカルチャーの中で育ちました。教育機関や就活のようなわかりやすい競争の世界で知り合ったパートナーと結ばれるのは自然な成り行きかもしれません。

本に出てくる15人を見ても、自分の仕事のためにサポーティブな夫を選ぼうという戦略性はないですよね。家事や料理ができる男性もいいとは思っても、それ以上に仕事ができる人を好ましく思ってしまうという側面がある。今は、家事能力も高く、仕事もできるという風に両方できる人も多いですしね。ただその場合、職場がハードなので、能力が高くても実際に家事・育児をできるかどうかは別問題。

私たちは夫婦ともにキャリアを積むのも、結婚も子どもも両方持てるのも、当たり前と思っていた面もあると思います。根拠のない自信なのですが。だから実際に妊娠するまで、そこまで覚悟がいるものとは思っていない。