今回の提言にあたって上級職の女性123人にアンケートをとったところ、「女性官僚の100%が子育てと仕事の両立に不安」「強い困難を感じる」という結果がでた。

2人の子どもを持つ河村さんは、日中は必死に仕事をして、なんとか6時半ころに切り上げ保育所にダッシュする毎日をおくっている。子どもたちは同じ保育所に入れられなかったため、夫と手分けして迎えにいく。寝かしつけたあとに残った仕事を片付ける。

「夜出ないと普通に働き続けられない長時間労働」「配慮してくれる周囲に対して心苦しい」「マミートラックに入って目指す仕事を達成できない」

「私だけではない」という思いに突き動かされ、「これから3割を超える後進の女性のためにも、今やらないとダメだ」と河村さんたちはアンケートを基に課題を洗い出し提言をまとめる。見えてきたのは「霞が関的働き方」をそのままに、「子育て期の女性だけに配慮すること」への限界だ。

「子どもがいない女性職員の場合、約半数は月60時間以上の残業で、霞が関の仕事は恒常的な長時間残業が前提なのです。末子が3歳以下の場合は、半数以上が月20時間未満の残業と配慮されています。ところが、末の子が4歳以上になると月40時間以上の残業を行っている女性職員が約7割と元に戻っていきます」

今は女性職員が少ないから何とか回っているが、3割に達する20代の女性職員が子育て期に入ると限界がある。

「人手不足は見えている。持続可能な働き方ではない。でも黙っていても誰も変えてくれないんです。だから今私たちがやるしかない」

河村さんも民間のワーキングマザーのように「業務を圧縮する」効率的な働き方をしているが、それだけで終われない「霞が関特有」の問題がある。

「アンケートでも業務量そのものより、時間外対応の働き方に問題があると答えた人が多かったんです。しかし夜7時から9時までは解放してもらわないと、子どもは待ったなしです」