中止するクリニックも相次ぐ

また「卵子凍結」を以前からやっている有名クリニックが相次いで「中止」を決めているそうです。これも何年かやってきて、「危機感を覚えてやってくるのは結局40代以上の人が多い」「結局凍結した卵子を使う人が少ない」ことと、年齢や保存の期限(クリニックの独自の指針で決まっている)などの関係で「廃棄しようとすると、トラブルが多い」ということです。

私はこの問題に関してすごく複雑な思いです。今やっている「妊活講座:仕事結婚出産、学生のためのライフプランニング講座」は「早くに出産子育てしてほしい」という啓蒙のために齊藤英和先生と始めたもの。「早い妊娠」を推奨する立場です。

でも、「産みたい女性にとって、日本企業はみんなブラックである(http://president.jp/articles/-/10651)」に書いた通り、仕事と子育ての両立に関しては、「まだまだ女性の頑張りだけで何とかなっている」状態です。そして、養ってくれる男もいない。

こんな状況で「頑張れ」というのなら、「卵子冷凍で……」と思ってしまう人がいるのも無理はない。すごくわかります。

私はこの技術を女性にとっての「お守り」のようなもので、それ以上でも以下でもないと思っています。自分のお金を使い、それがあることで心が平安に過ごせるなら、悪いことではない。欧米では「将来、自然妊娠できなかったとき用の預金口座のようなもの」とされているそうです。

なぜなら完璧な技術ではないから。結局は保存した卵子を使った「体外受精」という不妊治療になりますが、不妊治療って万全だと思いますか?

実は20代でもその成功率は2割程度です。

「それなら、5回体外受精をすればいいのでは?」

私も専門医の方にそう聞いたことがあります。でも「それは個人差だから。妊娠しやすい人もいるし、しにくい人もいるので、必ず確率通りではない」ということです。成功率は卵子を保存する年齢に準じます。40歳の卵子だと、40代の不妊治療の成功率=10%以下になります。もし保存するなら、なるべく早いうちに越したことはない。