大手全社が販売する淹れたてコーヒー。今年1月、セブン-イレブンが最後に参入し、カフェチェーンを凌ぐ勢いで伸びているという。なぜ注力するのか。「売り上げ以外の目的」を明らかにする。
購入客の9割がカード会員
コンビニの女性客比率は約40%。化粧品を強化し、ヘルシーな惣菜やサラダを増やし、デザート類の充実を図ってきた地道な企業努力の賜物だが、この流れにさらに弾みをつけたいと、各社はこぞって女性客を意識したコーヒーメニューを打ち出している。
「MACHI cafe」を統括するローソンのまちかど厨房部部長・吉澤明男氏は言う。
「先行導入した店舗でお客さまへのインタビューを実施したところ、女性がブレンドを好まないという実態がよくわかった。スタバもカフェラテで支えられています。女性に支持されるメニューの開拓が必要だと考えました」
「MACHI cafe」がベンチマークしているのはタリーズやスターバックス。それだけに、カフェラテあり、グラニッテや宇治抹茶ラテありと、メニューは専門店と比べても遜色がない。利用客は男女半々。「MACHI cafe」を次世代のコンビニのマグネットとして育てたいという同社の取り組みは確かな成果をあげている。
同じくラテを看板メニューに据え、「あじわいファミマカフェ」ブランドを展開しているファミリーマートの狙いもずばり的中した。
「ラテとブレンドをどちらも150円で提供していますが、これは戦略的な価格設定。わかりやすくお値打ち感を出すことで、カフェチェーンを利用している女性客をコンビニに呼びこもうと考えました。コーヒーを買う女性客の60%がラテメニューを、男性は60%がブレンドを選んでいます」(ファミリーマート商品本部デリカ食品部 FFグループマネージャーの宮井真一氏)
一方、セブン-イレブンは女性=ラテという発想に背を向け、「ペーパードリップで淹れるコーヒーこそいま求められている味」と確信し、ミルクを加えた「ミルクコーヒー」をメニューに加えるという選択肢も取らず、ホットとアイス2種類だけでスタートした。絞り込みの結果はどうか。
「缶コーヒーの購入客の男女比率は男性72%、女性28%と男性が多数派ですが、『セブンカフェ』の利用者は男性が54%、女性が46%。男性だけでなく、女性客も取り込めた。飲みやすさにこだわり、雑味のないまろやかな味を追求した結果だと実感しています」(セブン-イレブン・ジャパン FF・デイリー部 FF・惣菜シニアマーチャンダイザー・和瀬田純子氏)