2023年11月、電撃的な結婚からわずか105日での離婚を発表したフィギュアスケーターの羽生結弦氏。婚活・結婚カウンセラーの川崎貴子さんは「羽生さんの離婚は行きすぎた取材などの影響もあり気の毒だが、起業家の社長など、羽生さんのような超のつくハイスペック男性には、ダメだと思うと短期間で離婚する傾向はある」という――。
2022年7月19日、フィギュアスケート競技からの現役引退を発表する羽生結弦
写真=AFP/時事通信フォト
2022年7月19日、フィギュアスケート競技からの現役引退を発表する羽生結弦

国民的人気者・羽生結弦の離婚には同情しかないが…

男子プロスケーター羽生結弦さんの離婚報道を見たとき、正直なところ彼にもお相手の方にも同情しかなかった。

過熱したマスコミ取材や、一部ファンの迷惑行為から「お相手もお相手の家族も守れないから離婚した」という彼の声明が出されたにもかかわらず、本当の離婚理由をめぐる報道の第2波、「そもそも偽装結婚だったのでは?」「お相手とゆずママの折り合いが悪かったからでは?」なんて臆測まで飛び交っていた。なので、国民的人気者というものは大変だなぁと、特にファンでもない私は、遠巻きに心中お察ししていた感じだ。

ただ、この騒動を見てからというもの、連日母上と共にバッシングされながら、わが国の元プリンセスとゴールインした小室圭氏に何度か思いを馳せてしまった。羽生氏とは色々と違うので比べられるものじゃないのだが、海外に行っても報道陣に追いかけまわされ、誹謗ひぼう中傷を受けながらも愛を貫いた男、小室圭。今更ながらその胆力たるや、日本が手放してはならない逸材だったのではないだろうか……と。たぶん気のせいなのだが。

さて、それと同時に「羽生結弦氏」とは、本当に「アスリート」とか「国民的アイドル」という、多くの人に元気を与えたり愛でられたり消費されたりする、そんなカテゴリーの人間なのであろうか?

それこそが「本当に気のせい」なのではないかと、私は自分の極薄だった認識を急に疑い始めてしまった。

ビジネスマン的な「野心家」「超ハイスペ男性」としての羽生結弦

彼の、プロに転向のタイミングやナルシスティックとも取れる自己演出の徹底ぶりなど、古くは中田英寿とか本田圭佑のような、「サッカー界のアイコン的存在であり実業家」みたいな、自身の色々な野望を成し遂げていく「野心家」「超ハイスペ男性」という方が彼にはむしろしっくりくるのではないだろうかと思い始めている。

そうなると話は違ってきて、今回の離婚報道で彼らの結婚期間が105日間だったということにがぜん注目してしまう。105日しか続かなかったということではなく、105日で離婚発表するぐらいもっと手前の段階で「彼が離婚を決断していたであろう」というところに、羽生結弦氏の「超ハイスペ男性たるゆえん」が見て取れてしまい、私は今、カサついたわが膝を打ちまくっている。

それというのも最近、二人の女性から同じような相談を受けていて、彼女たちの夫がまさに超ハイスペ男性たち。夫婦げんかやすれ違いの末、離婚までのカウントダウンが始まってしまったのだが、けんかや離婚話はしたものの、一人の妻は本気で離婚する気はなかったし、もう一人の妻の方は1週間経ったら間違いだったと気づいたそうで、今ではどちらも復縁を望んでいる。

ハイスペ夫にあっさり離婚されそうな妻たちから相談された

しかし、夫たちはサクサク離婚に向かって一直線。夫婦が仲良しだった過去のことも、復縁を望む妻のことも、いっさい振り返る様子がないというのだ。

私は途方に暮れた。私の周囲の超ハイスペ男性たちがかつて、離婚を決めるのも、決めてから実行するまでの期間も異様にスピーディーだったのを思い出したからで、彼女たちの望みはかなえられない気がしたからだ。

一般的には、夫側の収入が低い(300万円以下)ほど離婚率が高く、高い(800万円以上)ほど離婚率は低いと言われている。要は、ハイスペ男性と結婚すれば離婚は少ないということなのだが、25歳の頃から起業してベンチャー界に身を置き、おびただしい数の上場経営者や外資コンサルや金融で稼ぐ男性たちを見てきた私は、その通説に「超ハイスペ男性は別」と、太字+強調線で付け足したい。

彼らは、全員とは言えないがけっこうな確率でバツがついていたし、中には2つも3つもついている人がうじゃうじゃいた。おまけに離婚を決めるまでの早さは人間業ではなかったと記憶している。そして、そうなる理由になんの不思議もないというか、当然だろうな、という感想しかない。

高層ビルの立ち並ぶオフィス街を駆け抜ける男性たち
写真=iStock.com/chachamal
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あっさり離婚するハイスペ夫が社会的に成功できた理由

超ハイスペ男性とは、高学歴だったり、超高収入だったり、社会的大成功を収めている人を指すわけだが、彼らが超ハイスぺ男性になれた理由が、以下のようにそもそも、われわれ凡人とは違う資質や考え方を持っているからである。

損切りが異常に早い

通常の人間なら利益を生まなくなった事業や会社、思い入れのある仲間とか株を手放せず、塩漬けにしてしまうことは多々あるのだが、超ハイスぺ男性はそこに無駄な感情を挟まず損切りできる。結婚も同じで、「この結婚は互いに人生のプラスにはならない」と判断したら、「せっかく結婚したのだから」とか「いつか変わるかもしれない」などという甘い期待で先送りしたりはしない。

仕事が正妻

超ハイスペ男性は独身だろうと既婚だろうと、既に「仕事」と結婚している。超ハイスペ男性と結婚した妻は自動的に「愛人枠」である。あくまでも彼らの人生の優先順位として。

価値観の変化や成長スピードが異常

仕事柄、色々な人物や価値観に出会うため朝令暮改は当たり前。結婚したときの超ハイスペ夫と、結婚1年後の超ハイスぺ夫は別人のような価値観を持ち、違う人ぐらい成長してしまっているため、「前はあんなに愛してくれたのに」「今のあなたは誰?」というぐらい夫婦の溝が生まれやすくなる。

ハイスペ男は「心がバブル」で前向きだから離婚も恐れない

幸せや成功を疑わない

今日より明日、明日より明後日が幸せになり、成功すると疑っていない「心がバブル期状態」なため、失敗を恐れずチャンレンジすることができる。しかし、プライベートでは妻から「あなたは家庭を顧みないので、私は今ぜんぜん幸せじゃない」とクレームを言われても、「幸せじゃないならやめた方がいい」と本心から勧めてしまう。自分で幸せをつかみにいかない人を軽蔑する傾向があり、共感力や協調性に乏しい。

まだまだあるが、代表的なのはこんなところだろうか。当然だが例外もある。超ハイスペ男性と上手くいっている妻は、

・性格もスタイルも奇跡的にどんぴしゃな女性。本人がずっと憧れていた「高根の花」だった女性の場合。
・超ハイスペなのに恐妻家で、たまたま気が強く叱咤しった激励がSM女王様レベルに上手い女性。

であり、これは努力してなれるものではなく、その女性たちの生まれ持ったある種の才能と出会いの運に左右される。

結婚するなら仕事として「妻役」に徹する覚悟が必要

他には、超ハイスペ男性の特徴4つを熟知し、何かをあきらめ、何を良しとして、完全に割り切って「妻役を仕事張りにできている人」。

また、超ハイスペ男性が高齢化して落ち着いたタイミングで結婚し、うまくいっている妻もいるが、どちらも修行僧並みの精神力や介護力が必要である。

羽生結弦さんの離婚をきっかけに、いまだに婚活市場で大人気の「超ハイスペック男性」との結婚はなかなかに険しく、リスクも高いということを多くの女性たちが肝に銘じてほしくて今回は筆を執った次第。その上、条件に「イケメンで、年齢も若くて」なんて付け加えるものなら、105日どころか1カ月しかもたない結婚になるかも⁉

結婚指輪を外している男性の手元
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

互いに理解し合えるカップルが一番軋轢あつれきも少なく離婚にもつながらないと思うので、婚活のプロとして最後に言いたいのは、「話が合う、育った環境や人生のビジョンが似通ったお相手を見つける」が、婚活成功の秘訣ひけつだということ。

現場からは以上です!