新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、ついに4月7日には7都府県に緊急事態宣言が出されました。人との接触を7~8割減らすために不要不急の外出の自粛が要請されるなど、前代未聞の事態が続いています。日常生活にも多くの制限が出るなか、終わりの見えないウイルスとの闘いに「コロナ疲れ」を感じている人も多いはず。精神科医のTomyさんに、自分の心を守るためのヒントを伺いました。
紅茶と計画
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Upyanose)

今日のことだけを考える

新型コロナウイルスの感染拡大で、たくさんの人の仕事に影響が出ているわ。その上、この状況がいつまで続くのかも、私たちには分からない。前代未聞、戦時に近いような特殊な毎日が続いているのよね。

自宅勤務になっている人も、出社が必要な人も、それぞれにストレスを抱えていることは間違いないわ。普通にしているつもりでも、いつもより感情の起伏が大きくなったり、不安定になったり。それは、緊急事態が宣言されるような今の状況下では、当然のことなの。

こんなとき、自分の心を守るためにはどうしたらいいか。

平常時であれば、身近なものを眺める視点と、先を見据える視点、両方を持つのがおすすめなの。たとえば「1~2年後はこんな仕事をしたい」という未来のビジョンと、「今日は疲れたから、早めに寝ましょ」っていうこと、どっちも大事。

でも、今は先のことを考えようとしても、見通せないからかえってこわい。仕事はどうなるのか、収入はどうなるのか、学校はどうなるんだろう……。不安が募るのも仕方ないわ。

考えるなと言われても難しいかもしれないけれど、こうなったら目先のことだけに集中するほうが得策よ。だって人間って、朝起きたら、あとは夜寝るだけ。起きている時間を楽しくプランニングすることだけに集中するほうが、余計な不安を増やさずにすむわ。

自分以外の守るべきものがあると強い

多くの人は、今、家にいる時間がこれまでよりずっと長くなっていると思うの。

暮らしのひとつひとつを味わって、ていねいにしてみることって、心の平和を保つためにもとても効果的よ。

掃除をする、コーヒーを淹れる、食事をつくる。ひとつひとつの動作に集中することで、心に穏やかな水面をつくるの。心を無にして、ただ目の前のことに夢中になってみるのよ。それが自分を助けることにつながるわ。

お世話をするのもおすすめよ。ベランダ菜園をしたり、お花や観葉植物を育てたり、わんちゃん、猫ちゃん、ペットのお世話をするのもいいわ。自分以外の守るべきものがあると思うと、私たちの心は強く、元気になるのよ。

散歩は人間の根源的な喜び

頭を休めるためには、体を疲れさせるのも手よ。汗をかくと、気持ちがすっきりするでしょ。動画を見ながらダンスをしたり、自宅で筋トレをするのもいいかもしれないわ。

「不要な外出は自粛するように」という要請が出ているけれど、まったく外に出られないのはつらいわね。2本の足で好きなところに行けるというのは、人間の根源的な喜びよ。

近所を散歩したり、広い公園でジョギングしたり、人との距離を十分にとれる場所であれば、外の空気を吸うことはかまわないと思うの。

人との接触をしない場所を選んで、うまく息抜きをしてほしいわ。

古典や名作に触れて

テレビやネットもコロナウイルス一色で、不安が増幅してしまうという人も多いわね。実はアテクシもそうなの。新しい情報はないかと、ずっとメディアにくぎづけになって疲れてしまう。

もちろん正しい情報を取り入れることは大事よ。でも、出口が見えない今の時点では、情報に触れる時間は区切ったほうがいいと思うの。

際限なく見続けてしまって不安にかられるなら、その時間、本や映画に触れることをおすすめするわ。名作といわれる作品って、時代を超えて普遍的なもの。それこそ戦時中や大恐慌時代の人も楽しんできたはずよ。そこには、苦しさを乗り越える昔の人の知恵も入っているわ。こんなときこそ古典や名作に触れて、没頭してみるのはどうかしら? 逃避の世界にはコロナウイルスは存在しないわ。

自分がご機嫌になる方法をリストアップしよう

いろいろなことが制限されているなかだから、自分で自分の機嫌をとることが大事よ。

自分のご機嫌とり、たくさんしましょう!

自分の機嫌がよくなるアイテム、行動、どんどんリストアップしてみるといいわ。

勉強が楽しい人、映画や読書が好きな人、ヨガや瞑想で落ち着きたい人。なんでもいいの。

アテクシがご機嫌になる習慣は、お気に入りのバスソルトを入れてゆっくりお風呂に入ること。丁寧にミルクティーを淹れること。お天気がよければ、とりあえず散歩。いろんなおうちを眺めて「ここに住んだら、どんな暮らしになるかしら」って妄想するのは、最高よ。アマゾンプライムで好きなものを見たり、インテリアショップのホームページを見ながら、模様替えのプランを練るのもいいわね。

人間ってね、どんな環境でもそれなりに楽しめるようになっているの。その力を信じてあげて。