資格は大切! だけど、実際に収入アップにつながる資格はあるの? 現役人事担当者に本音をぶっちゃけてもらいました!

Aさん●大手転職支援企業から大手IT企業の人事などを経て、Webサービス・ベンチャーの人事責任者。
Bさん●大手転職コンサル企業から数社の人事を経てメディア系企業の人事担当者。
Cさん●大手金融サービス企業の中途採用担当のマネジャー。

多くの人が書いてくるのは英語の資格だが……

【Aさん】まず、転職希望者のエントリーシートで目につくのがTOEICです。以前、転職支援の企業で採用を担当していたときは、500点後半くらいの点数から書いてくる人が多かったですね。

【Cさん】確かに、大半の応募者が英語の資格を持っています。もちろん海外専門の部署は英語の能力が問われますが、私も経験したことのある国内営業だと取引先は日本企業ですから英語を使うことはありません。ところがその企業が海外に出たいと言ったとたん、いきなりグローバル化の壁にぶつかります。

【Cさん】だから中途採用のとき、ある程度英語力は見ています。ただ、なかにはTOEIC400点とか英検3級とか書いてくる人がいて、これはアピールなのか、英語があまりできないと正直に言っているのか、意図が読みきれないことがあります。

【Bさん】そうですね。

【Bさん】私が前にいた人材紹介会社では、転職希望者に対して「650点に満たない人は書いちゃダメですよ」と伝えていました。そのくらいの点数では、ネガティブな効果にしかならないことがありますからね。

【Aさん】英語を含めてどの資格でも目的とか軸なしに取っている感じがあると、逆にマイナスに映ってしまう気がします。それなら取らないほうがいいし、書かないほうがいい。わりと趣味っぽい資格も多くて、面接で「カラーコーディネーターを持っています」と言うから、「どうして取ったんですか」と聞くと答えが返ってこない。この人には戦略性がないのかなと頼りなく思えてしまいます。

【Cさん】同感です。専門部署で金融経験のある人の採用を検討しているときに、資格として「野菜ソムリエ」と書いてしまっている人がいました。

【Bさん】単なる資格ホルダーに見えてしまうと心証が悪くなってしまいますね。でも、たとえ趣味の資格であっても、そこにストーリーがあるといいと思うんです。以前、履歴書や職務経歴書にワイン関連の資格を書いてきた応募者がいました。面接で「ワインがお好きなんですか?」と尋ねると、「前職で販売員をしていたとき、お客様にワインのことを聞かれて間違ったアドバイスをしてしまいました。それが悔しくてワインの勉強を始めたんです」と。これなら面接官からも、この人は顧客志向の強い人だし、とても勉強熱心な人だと好感を持たれます。

【Cさん】ストーリーがあれば趣味の資格でも。

【Bさん】人柄が判断できますしね。

金融の分野では専門資格が問われることも

【Aさん】資格の評価は、会社によっても、また同じ会社の中でも職種によって違ってきますね。私の前職のWeb系金融会社なら業種柄、コールセンターや法務、サービスをつくる経営企画といった部署でも金融の知識が必須なので、FP(ファイナンシャル・プランナー)や証券外務員などの資格があるのはプラスでした。

【Cさん】金融分野で最近、使える資格といわれているのが中小企業診断士です。MBAの中小企業版のようなもので、経営者を相手にしたとき、より実務的なお話ができます。もちろん本家のMBAを持って転職してくる人もいますが、資格ありきというよりは実務経験も加えて判断しています。

【Bさん】当社もここ数年、MBAホルダーがちょっと増えてきたかなという感じがあります。とくにコンサル系の出身者が事業会社に移るケースです。直接ベンチャーに来ても厳しいんですが、どこか大手の事業会社で修業してからだとすぐに活躍してもらえます。

【Aさん】実は私、2015年からMBAの学校に行きはじめたんです。いずれは経営に携わりたいと思っていますから取っておきたいなと。でもベンチャーに転職しちゃって、実務を回すだけで精いっぱい。今はお休みしています(笑)。

非エンジニアもコンピュータの基礎は必須

【Bさん】Webエンジニアの採用でも実務経験が問われます。ときどきITパスポートのような入門資格を記載してくる人がいます。書いてもかまわないのですが、実務経験が伴わないとPR効果は薄いですね。Webのエンジニアリングやデザインの領域では、持っている資格が実践の中でどう生かされるかが重要だと思います。

【Cさん】お二人の会社に比べて、うちはITのスキルを持っている人が極端に少ないので危機感があります。今はITで金融の世界にイノベーションを起こす「フィンテック革命」なんて言葉も出ているくらいですからね。

【Aさん】うちでもWebエンジニアを採用するときは、正直、資格を見ていませんね。実務経験がどれだけあるか、その方がどれだけ勉強しているかという実際的なところを確認します。

【Bさん】私たちノンエンジニアも、これからの時代はプログラミングができないと結構厳しいと思います。とくにベンチャーは少人数で経営していかなくてはいけませんから、コーポレート側の人間がエンジニアの言葉をわからないと職人かたぎの彼らに信用してもらえません。少なくともインターネットがなぜつながるかといったコンピュータの基礎知識だけでも押さえておかないと。

【Cさん】最近は人事担当者向けにもテックキャンプといった、短期でプログラミングを学習するプログラムがあるそうですね。

【Aさん】今後のWeb業界でいうと統計知識も必要だと感じています。ビッグデータが一層重要になるでしょうから、データサイエンティストだけでなくマーケッターや私たち人事も統計の資格、知識は求められてくるのかなと思いますね。

▼稼げる資格
●TOEIC 650点以上ここまであれば価値あり)
●FP(経営企画に関われるかも)
●証券外務員これが必須の職種も多い)
●中小企業診断士(中小企業版のMBA的な資格)
●MBA最近ホルダーが急増中!)
▼いらない資格
●TOEIC(650点より低いと評価されません!)
●英検3級(隠すほうがマシなレベル)
●カラーコーディネーター(目的や戦略がなければNG)
●野菜ソムリエ(加点要素にはなりません)
●ITパスポート(実務が伴わないと無意味)