日本最大級の家計簿アプリ「Zaim」を作成した閑歳孝子さん。ウェブ業界で基本を学ぶうちに、「自らプログラミングしたアプリを立ち上げたい」と思うようになり、生み出された。会社に在籍しながら、“趣味の延長”として作成したアプリで起業することになったきっかけとは?

株式会社Zaim 代表取締役 閑歳(かんさい)孝子さん

紙の家計簿集計に一苦労……ひらめいたのが「家計簿アプリ」

「自分の人生設計で一番想定外だったのは社長になったこと」。そう語るのは、株式会社Zaim(ザイム)の代表取締役・閑歳孝子さん。この人こそ、日本最大級の家計簿アプリ「Zaim」を作成したご本人。

ウェブコミュニティーの立ち上げや運営は学生時代の頃から行っており、ゆくゆくはIT企業に就職と思いきや、「見たことがない業界を知りたい、いろんな人に会ってみたい」という理由で出版社の記者の道を選ぶことに。取材は面白かったが、一方で忘れられなかったのは、学生時代に作ったウェブサービスが、多くの人に使われた楽しさ。本格的にIT関連の仕事に就きたいと考え、25歳でウェブ業界に転職。基本を学ぶうちに、自らプログラミングしたアプリを立ち上げたいと思うようになる。そこで生まれたのが、家計簿アプリZaim。

「長くBtoB向けサービスを担当してきましたが、BtoCにもチャレンジしたくて。何がいいかと考え、ひらめいたのが家計簿だったんです」

閑歳さん自身、社会人になってからずっと家計簿をつけており、紙の家計簿の集計に苦労をした経験も。さらに「高いけど、いいものを楽しそうに買う」ご主人の姿を見て、「お金を気持ちよく使えるようになれば、もっと幸せを感じやすくなるはず」と確信。

立ち上げ当初は趣味の延長で作成したアプリだったため、会社に在籍したまま管理をすることに。しかし登録者が一気に膨らみ、「個人情報を預かっている以上、きちんと管理する体制を整えて利用者に安心して使ってほしい」と考え、起業を決意。自らの意思ではなく、なるべくして会社を起こしたというのが実情なのだとか。

「それでも、この業界は技術と知恵さえあれば、学歴はもちろん場所やお金にとらわれることなく、誰でも起業することが可能。柔軟性のある業界という点が、魅力の一つでもありますね。現在はITの女性起業家は少ないですが、今後はもっと増えると思います」

 

■会社情報

【社名】株式会社Zaim
【資本金】2900万円(資本準備金2100万円)
【従業員数】非公開

■閑歳さんの経歴

(22歳)大学卒業/日経BPに記者として入社
(25歳)同社退職後ウェブ開発ベンチャー会社にてウェブディレクションを担当
(29歳)同社を退職、ユーザーローカルに入社
(32歳)無料オンライン家計簿「Zaim」を作成
(33歳)ユーザーローカル退職、株式会社Zaim設立

■閑歳さんに6つの質問

1.起業に際し、苦労したことは?
当初、全決定権を自分が持ったことに戸惑った

2.起業して幸せを感じることは?
利用者から感謝の言葉を頂いたとき

3.起業して自分自身が変わったことは?
マネタイズ含めサービスの成長を考えるように

4.起業にもっとも重要なことは?
目の前にある仕事を丁寧に行う

5.今後の展望は?
自分らしくお金を使える人を増やす

6.座右の銘は?
わが生涯に一片の悔いなし