相手から断られ、会ってももらえない……そんな悩みを抱える相談者に、婚活アドバイザー・大西明美さんが授けた秘策は、他の外見コンプレックスにも応用できるものでした。その内容とは?

ぽっちゃりさん、お見合い未遂で4連敗!

「大西さん、もうすでに4連敗です。会うことすらままならないなんて……」さやかさん(仮名)はかなり落胆していた。お見合いをして相手から断られたのではなく、お見合いをする前、プロフィールと写真交換の段階で、相手の男性からのお断りが4人連続で入っているのだ。このように実際に相手と会う前に断られてしまうことを、うちの結婚相談所では“お見合い未遂”と呼んでいる。

さやかさんは32歳で、年上、年下両方の男性からオファーをされる年齢。男性に求める条件も、学歴不問、年収400万円以上という緩やかものだ。ただひとつ、彼女のお見合いを困難にしているもの、それは……。

「やっぱり私が太っているから断られるんですよね」「うっ……」私はそれ以上何も言えなかった。頭のいい彼女は、自分が置かれている状況を理解している。そして、かくいう私自身が“ぽっちゃり”であるため、彼女の気持ちは痛いほどよく分かる。

自分の見た目に対して、何かしらのコンプレックスを抱いている人は多いものです。人から見れば気にするほどではなかったり、時には魅力的であったりする見た目の特徴ですが、婚活では相手選びの基準となってしまう場合もあります。

「大西さん、ぽっちゃり好きの男性っていませんかね?」「男性が10歳以上年上になればいますけど……」40歳を超えると、「好みのタイプは、タレントの柳原可奈子さん」という男性がいきなり増える。原因は不明だ。

彼女はため息をついた。「10歳以上年上なんてありえない! でも背に腹は代えられないし……。会ってもらえないことには、婚活が始まりませんから」

こういう妥協の仕方をしたお見合いは、まずうまくいかない。「相手を選んでなんていられない」と頭では考えていても、心が追いついていないからだ。「私は、自分に女性としての価値がないから、こんなおじさんとお見合いしなければいけない」などと思っていると、自己イメージが下がり、まとまる話もまとまらなくなる。そして実らぬお見合いを繰り返すこととなり、最後には婚活疲れを起こして戦線を離脱してしまう。

「断られる前に会う方法ってありませんか? 写真なしで会ってくれる人とかいませんか?」ん? その方法ならある!

私は言った。「お見合いパーティーに参加してみるっていうのはどうですか?」「あぁ! それなら会えますよね。しかも複数の男性と」「でも、1つだけでっかいリスクがありますよ。他の女性と比較されて、審査落ちになる可能性があります」「ぽっちゃりな私が、他の女性の引き立て役……そんなの嫌です! でも相手と会えないのはもっと嫌です!」「大丈夫! 秘策をお教えしましょう。ぽっちゃりさんに贈る、『3つの“ゆ”の法則』です。」

美人相手でも逆転可能な「3つの“ゆ”の法則」

「1つ目は、“「ゆ」ずる”ということです。ぽっちゃりさんって場所をとりますよね。例えば電車の座席。『窮屈だな~、隣のおじさん、もう少し脚を閉じてくれたらいいのに』って思うことはありませんか?」「あります!」さやかさんはめちゃくちゃ共感してくれた。

私は続けた。「その時、隣のおじさんは、『この娘、もう少し痩せてくれたらゆったり座れるのに』って思っているんですよ。実はお見合いパーティーでも似たような状況が起こります。それはパートナーチェンジなど、場所移動の時です。お見合いパーティーの会場って、空間が狭いですよね。だから私やさやかさんのようなぽっちゃりさんは、人に道を譲ってから移動しましょう。すると、『気遣いがデキる子』という印象が、ぽっちゃりであることよりも強く残ったりするのです」「私、相手をおしりで突き飛ばしてしまっているかもしれません。気をつけます」

「2つ目は、話をする時は、“「ゆ」るがない”ということ。私達ぽっちゃりは、スリムな女性が同じ空間にいると、『どうせ私なんか選ばれない。デブだし』といじける気持ちが出て、臆病になります。でもそれはダメ。ビビらないで、『私は私』とゆるがない強い気持ちを持つことが大事です」「たしかに。私みたいにお見合い未遂で4連敗なんてしていると、『どうせまた断られる』と最初から気持ちが負けてしまいそうですよね」

コンプレックスの壁は自分の力で越えられる

「最後の3つ目は、“「ゆ」るす”ということです。何を許すのか。それは、“男性が女性を選ぶ時の優先順位”です。お見合いパーティーでは、交際を申し込む候補を何人も選ぶことができます。ぽっちゃりな私達が選ばれたとしても、たいてい男性にとって第1希望ではありません。だから、デートが決まる日程も遅いし、男性からの返信も最初から遅れがち。それは後回しにされているからです。そこで『ぽっちゃりは損だ! ムキー!』となったところで、嫌われるだけです。オファーされても自分は1番手じゃない。でも、オファーがあったという時点で、その男性はもう“ぽっちゃりの壁”を乗り越えてくれていますよね。それに感謝するんです。あとは相性です。楽しいデートをすることに集中することが大切です」

「3つの“ゆ”の法則」をちゃんと守ったさやかさんは、その後、1年以内にお見合いパーティーで出会った男性と、あっさり結婚していきました。

この法則は、ぽっちゃりさんに限らず、外見にコンプレックスを感じている人にも応用ができます。また、さやかさんの最大の勝因は、「そもそもお見合いでは相手と会ってさえもらえない」と悟った時に、お見合いパーティーに切り替えたところにあります。外見にコンプレックスを感じていると、お見合いパーティーからは足が遠のきがちですが、それは大きな機会損失になります。コンプレックスとは、自分自身の気の持ち方や振る舞いで解消できるものです。3つの“ゆ”の法則、ぜひ、試してみてくださいね。

大西明美
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。
著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。