日々なにげなく使っているお金が、あなたの将来をピンチに陥れるかもしれない……。「あるある!」となったら、人のふり見てわがふり直せ。お金の専門家のアドバイスを参考に、今すぐ家計を改革しよう。

ファイナンシャルプランナー(FP)の浅田里花さんに、30代の働く女性の家計簿を診断してもらった。

「世帯収入の高い人が陥りがちなのが、固定費以外をお小遣いとして自由に使って、貯蓄がないという状況。リタイア直前になり、収入が減ってから浪費癖を直したいと思っても、生活水準を落とすことは難しいです」と浅田さん。

イラスト=三上数馬

「無計画ではお金は貯まりません。たとえば、住宅購入を考えている場合、何年後にいくら必要かから逆算してまず年間貯蓄の目標額を決めましょう。そして月々とボーナス時の貯蓄額をそれぞれ決め、強制的に貯めてください。いくらまでなら使っていいのか、自分で把握することも大切です。手取りから貯めるお金を引き、さらに固定費を除いた分が自由に使えるお金。お小遣いは楽しみつつ、でも優先順位をつけて使いましょう」

ブランド&自分磨きで月々の貯蓄ゼロ


亜沙美さん(34歳)/1人暮らし
年収:620万円(手取り=480.5万円、月/28.3万円、ボーナス/140.9万円)
貯金:250万円
仕事:広告代理店
趣味:洋服、ゴルフ
性格:負けず嫌い


自分磨きが大切なので、多少無理をしてでもワンランク上のものを選んでしまいます。好きなブランドの服はボーナス払いで購入。月平均4万円ほど使います(表の「1」参照)。ワードローブには趣味が変わって着なくなった服がぎっしり……。

家計簿●月収(手取り)28.3万円の使い道

体を動かすことも好きで、月に1回はゴルフに行き、健康のためスポーツクラブにも入っています(表の「2」参照)。「新規入会サービスで2カ月間無料」のキャンペーンにつられて入会してしまいました。ただ、仕事が忙しくて、この半年間で通えたのは6回だけ……。

エステでは、期限なしのプランを6回分6万円で購入(月6000円×10回払い)しました(表の「1」参照)が、これも4回分行かずに放置したままなのが気になっています。有効期限がないからまあいいか、と見て見ぬフリ。

もっと気になっているのは、12万円の家賃(表の「3」参照)。収入のわりに高いでしょうか? でも、駅近で通勤に便利だし、女性なのでセキュリティーにはこだわりたいです。

実は最近、友達がマンションを買ったので、私もこのまま家賃を払いつづけるより、いっそ買ってしまおうかと考えはじめています。

■FPのアドバイス

1000万円貯まっていてもおかしくない年収なのに、月々の貯蓄がゼロ(前頁の表「4」参照)。亜沙美さんは、「金回りの良いシングル女性」に見られる典型的な消費パターンにはまっています。

イラスト=三上数馬

お金の使い方は最初に身についた癖が抜けにくいもの。年をとってからはダウンサイジングしにくいので、今から優先順位をつけて使うよう意識してほしいものです。

着なくなった洋服は流行が廃れないうちに、ブランド古着店に持ちこんでリサイクルしてみませんか。ほかにも「1つ買ったら1つ処分する」などルールを決めて、つい買ってしまう心をセーブして。

通っていないスポーツクラブは無駄遣いなので、すぐに退会手続きをしましょう。また、エステも残りの分は使い切って。継続や化粧品の購入を勧められても、きっぱり断る勇気を持ってください。

家賃の高さを気にしていますが、利便性やセキュリティーは譲れないでしょうから、引っ越しはお勧めしません。そして、シングル女性向きのマンション購入についても考えもの。今後結婚が具体化した際、マンション所有が意外な足かせになることがあるからです。

※「PRESIDENT WOMAN」Vol.5(8/7発売)からの抜粋です。続きは本誌で!

ファイナンシャルプランナー(FP) 浅田里花(あさだ・りか)
生活設計塾クルー取締役。東洋大学社会学部非常勤講師。1959年兵庫県生まれ。同志社大学文学部卒業。証券会社や独立系FP会社を経て現職。一人ひとり・家庭ごとに合ったマネーコンサルティングを行うほか、執筆、マネーセミナー講師などを手がける。浅田さんにとってお金とは、自分を見失わない程度に欲しいもの。