人間は人工知能のように考えることができる

時々、パニックに陥っている人、ないしは、陥りそうになっている人を見かける。

そのようなパニックは、自分がどうすることもできない事態に直面することから起こる。これから大変なことが起こりそうだという予感も、不安の原因になる。

そのようなときには、できるだけ論理的に、しかも定量的に考えることをお勧めしている。難しいようだけれども、慣れてしまえば、簡単なことである。

例えば、ほかに案件がたくさんあるのに、急に大きな仕事が入ってしまったとしよう。しかも、締め切りは3日後! というとき、取り乱したり、落ち込んだりしている人をよく見かける。そのような感情的な反応は自然なものだが、仕事を片付けるうえでは助けにはならない。

あくまでも論理的に、しかも定量的に考えるのがいい。3日後までに片付けなければならない仕事の量は、どれくらいか。誰かに手助けしてもらえるか。その仕事をするために、先延ばしできることはないか。もし3日後までにできなかったら、どんなふうに対処すればいいか。

さまざまな可能性を冷静に分析し、それぞれの場合においてやるべきことを決めておけばいい。そうすれば、パニックを起こさずに対処できる。

そう、まるで「人工知能」のように。

論理的に可能「トンネル張り巡らし渋滞解消」

人工知能が発達するにつれて、人間にとっても、人工知能のやり方が参考になると感じることが多くなった。

あくまでも、論理的に、しかも定量的に考える。そのような人工知能のアプローチは、もともと、人間の脳の持っている働きを取り出し、モデル化したものである。

だとしたら、人間にもできないはずがない。そして、実際にやっている人がいる。

先日、カナダのバンクーバーで開かれたTEDに参加してきた。科学や技術を中心として「広げるに値するアイデア」の講演を行う会議である。

今年一番印象に残ったのは、イーロン・マスク氏の話だった。TEDのキュレーター、クリス・アンダーソン氏との対談という形式で、考えていることを披露したのである。

「連続起業家」との異名もあるマスク氏は、ペイパルや、テスラ・モーターズ、スペースXなど、数々の企業の創立にかかわってきた。

そんなマスク氏の最新のアイデアが、「ボーリング・カンパニー」。都市の慢性的な渋滞に嫌気が差したマスク氏が、地下にトンネルを張り巡らせ、そのなかを時速200キロで自動車を移動させることで、渋滞を解消しようというアイデアを提案した。

マスク氏の構想は、一見荒唐無稽ながら、背後にきちんとした論理がある。TEDでも、SFのような「ボーリング・カンパニー」の背後にある緻密な論理を披露した。

マスク氏の予想によると、自動運転の普及によって都市の交通量はますます増大する。一方、一部で言われている「空飛ぶ車」は、騒音もあるし、安全面でも解決策にならないという。

そこで、地下のトンネル。トンネルの形状や、掘削コストについて、具体的な数字を繰り出して淡々と語るマスク氏は圧巻だった。

マスク氏の「あくまでも論理的、かつ定量的に考える」という姿勢は、すべての人の参考になるだろう。

仕事は、淡々と論理的に考え、こなせばいい。そうすれば、きっと遠くにいける。