習慣化したいのに、なぜ習慣化できないのか?

私は以前、拙著『30日で人生を変える「続ける習慣」』を刊行するにあたり、“続く人・続かない人”にインタビューを重ねました。また、これまで習慣化コンサルタントとしてさまざまなクライアントに接したり、弊社コンサルタントと意見交換をしたりして多くの知見を得てきました。そこで今回は、そんなプロ目線で「習慣化したいのに習慣化できないこと」ランキングを、失敗理由と対策法とともにご紹介します。

以下のランキングは、習慣化コンサルティングで相談を受ける件数や過去のクライアントのデータ、アンケート結果に、弊社コンサルタントの実感値も加味して、「習慣化しにくいもの」を順位付けしたものです。

【習慣化「続かない」ランキング 1位 早起き】

(1) 失敗理由
早起きは、簡単ではありません。難易度を数値化すれば95%といったところ。私たちが扱う習慣化の案件の中で最も難しい項目です。なぜ難易度が高いのか? 実は意外と“複雑”なプロセスがあるのです。早く起きようと思うと、早く寝なければなりません。しかし、仕事の習慣(慢性的・突発的な残業が多いなど)、プライベートの予定(飲み会など)、家族の都合などが絡んでくるため、なかなか寝る時間を変えられません(早めることができない)。その結果、就寝時間は昔と同じ、起きる時間を懸命に早くすることになり、多くの人が睡眠不足に陥ります。そして1週間以内には睡魔に負けて元通りの起床時間に逆戻りします。

(2)対策
早起き習慣を実現するために、絶対必要なのは、寝る時間を早めることです(一定の睡眠時間の確保が必須)。それには寝る時間、そして仕事を終え、退社する時間をきっちりと守ることが重要です。午後6時なら6時。それを死守する。その退社時間を意識して朝からの仕事に取り組むのです。まず3週間、この「退社時間を決める」を実行してみてください。良い循環が回るまでにこのくらいの時間がかかります。さらに早起きを定着させるには、3カ月かかります。体内時計が寝る時間、起きる時間を完全に覚えるためには、この期間が必要になるのです。粘り強く取り組む姿勢が重要です。

もちろん、残業しなければならない時期や、参加しなければならない飲み会などがある日もあるでしょう。その場合は退社時間が守れなくても、後日、調整していきます。詳しい方法は前述の拙著か、本連載の過去記事(退社時間を死守すれば、脳が冴えるよみがえるhttp://president.jp/articles/-/15637)をご覧ください。

永遠のテーマ「ダイエット」成功させるヒント2つ

【習慣化「続かない」ランキング 2位 ダイエット】

(1) 失敗理由
食べると、人は強烈な快感を得ます。そしてその快感が食べる習慣を現状維持させるのです。人間の脳が最も恐れるのは、飢餓状態。食料が手に入らなくなることで生命の危機を感じるのです。カロリーオーバーの食習慣だとしても、脳がその習慣を変えたがらないのは、そうした本能が関係しているのでしょう。

もうひとつ、クライアントと接していて強く感じるのは、脳疲労度の高さです。現代に生きる人々は過重な仕事や、PC・スマホなどデジタルツール操作により、心身に大きな負荷をかけています。そのストレスを解消する最も手っ取り早い手段が「美味しいものをたくさん食べる」こと。快感ホルモンは、脳疲労を軽減する効果があるのかもしれません。

食べる習慣は、飢餓への抵抗と脳疲労の解消という肯定的意味合いがあるため、脳は、簡単に「現状」を変えようとしないのです。

(2)対策
2つの対策をご紹介します。1つは、ベビーステップ(小さな一歩)で始めることです。夕飯は、白米などの炭水化物を「お茶碗半分程度にする」というレベルから徐々にハードルを上げていきます。12週間でレベルを上げ続ければ、かなりの対策になります(拙著参照ください)。ダイエットも身体習慣なので3カ月の時間が必要です。2つ目は、朝食・昼食・夕食時のメニュー選びの工夫です。お腹が減っていて、ストレスがたまっている時にはどうしてもハイカロリーな食べ物を選びがちですが、その「選択」が悪循環の始まりです。もし既婚者であれば、配偶者に作ってもらうことで、そうした選択ミスを回避できます。独身の方は、自炊するにしろ、外食・中食にするにしろ、自分自身で「選択が命」を念頭においてメニューを決めましょう。

【習慣化「続かない」ランキング 3位 片づけ】

(1) 失敗理由
理由は人それぞれですが、「時間がない」こともそのひとつです。ワーキングマザーが増えて、仕事と子育てで手がいっぱい、家の片付けまで手が回らないといった悩みが最近増えています。せっかく片付けても、すぐに子供が散らかすこともあり、イライラが募ります。仮に、散らかったままの状態を放置していると、片付けができていないことへの自己嫌悪感や、子供に汚部屋を見せている罪悪感も高まり、そうした負の感情の積み重ねからつい夫婦喧嘩に発展したり、子供に過剰に怒ったりというマイナスのスパイラルが起きてきます。

(2)対策
多くの人「時間がない」状態で、片付けが後回しになったり、不十分になったりする。ではどうするか。私がお勧めするのは、15分集中片づけです。片づいたかどうかではなく、15分片づけ作業を集中して行ったかどうかがポイントです。朝起きてすぐ。夜寝る前に。と、「15分集中」を実行するタイミングを決めます。たかが15分されど15分で、案外、片付けははかどり、部屋はキレイになっていくものです。3週間もこれを続けていると、散らかるペースより片付けるペースが上回り、部屋は見違えるようにスッキリします。最も良い効果は、自己嫌悪、罪悪感、イライラという負の感情が軽減することです。

何回トライしても挫折する習慣4位、5位は?

【習慣化「続かない」ランキング 4位 英語・資格勉強】

(1) 失敗理由
毎日、仕事などで忙しいなか、勉強時間を確保することは容易ではありません。時間がない、急な残業が入った、疲れて勉強する気分じゃない……挫折の理由は山ほどあります。傾向的には、仕事終わりの夜に英語・資格学習をしている人は長続きしないケースが多いです。その理由は単純で、日中の仕事で脳が疲労困憊となり、勉強に割くエネルギーが残っていないからです(後述するように、朝時間や、電車での通勤時間などの有効活用が鍵になりそうです)。

毎日の学習習慣を確保するには、何かをやめなければなりません。その代償が決まっておらず、流されるままに生活すると勉強の時間は取れません。私たちは他人との約束は守りますが、自分との約束は簡単に反故にしてしまいます。

(2)対策
ポイントは、移動時間を上手に活用することです。移動時間は累計するとバカになりません。その時間を学習時間に変えれば、学習時間の確保の負担が減ります。そして朝に集中時間を持つこと。通勤電車なら朝がいいし、15分でもいいので、会社に早くついたら近くのカフェで集中学習の習慣をつくりましょう。慣れてきたら15分を20分、30分……と長くしていけばいいのですが、大切なことは、「いつ・どこで・何をする」と明確に決めることです。朝は最も学習するエネルギーに溢れています。夜学習するより3倍は効果が高いでしょう。学習習慣は1カ月で定着します。

【習慣化「続かない」ランキング 5位 禁酒・禁煙】

(1) 失敗理由
禁酒、禁煙は「やめたい習慣」の筆頭格です。とはいえ、喫煙と飲酒はストレス解消になると本人が感じているため、心理的ベネフィットを全く無視して、禁酒・禁煙だけをやろうとするとリバウンドが起きます。仕事の繁忙期などストレスが大きい時期に禁酒や禁煙に取り組むと挫折しがちです。また、明確な覚悟と動機がなければ欲求に抵抗しづらく、挫折しやすくなります。

(2)対策
禁酒・禁煙をするならば、スイッチング行動(代替行動)を決めておくことが大切です。ストレス解消としてのお酒やタバコに変わるものを用意するのです。

たとえば、禁煙なら「3カ月は食べることを許可する」とすれば、美味しいものを食べることでストレス解消ができます。もちろん、その後ダイエットの問題は出ますが、間違っても禁煙とダイエットの2つを同時に実行しようとすると、おそらく心の抵抗に勝つことはできません。禁酒ならば、ノンアルコールビールか、ガム、炭酸水、運動という代替手段が有効的です。あなたのスタイルに合わせた刺激の代替、ストレス解消法をセットで用意してあげてください。

なお、6位以下は次の通りです。

6位 節約(家計簿)
7位 運動
8位 ストレッチ
9位 日記・ブログ
10位 瞑想

以上、簡単にご紹介しましたが、より詳しく知りたい方は、続けたい習慣の場合(早起き、ダイエット、片付けなど)は拙著『30日で人生を変える「続ける習慣」』を、また、やめたい習慣(禁酒・禁煙など)は『新しい自分に生まれ変わる「やめる習慣」』をご参考にしてください。