すぐやらない部下は評価できない

すぐやる人というのは、「すぐやることが習慣になっている人」のことだと思います。こういうことは子どもの頃から習慣として身に付いていなければ、大人になってからどうこうできる問題ではありません。

古今東西問わず、「今日できることは明日に延ばすな」と言われているように、この習慣は大昔から非常に大事にされています。そのため、子どもの頃から親がちゃんとそういうことを躾けなければいけません。

すぐやることが習慣になると、集中力が高まり、何としても今日中にやらなければという粘りが出てきます。習慣とはその人の「第二の天性」であり、人間を構成する4要素として徳性・技能・知性と並び非常に大切なものだと思います。

仕事においても、上司から頼まれた仕事への取り組みが遅い人はまずダメです。そのような人は仕事に真剣に取り組んでおらず、ダラダラと仕事をし、上司への報告もしません。すぐにやる習慣が身に付いていないからでしょう。

上司から仕事を頼まれたら、必死になって一気呵成に仕事に取り組む、その日のうちに取りかかることが大事です。判断がつかない場合には、一人で悩まずすぐに上司に相談する。私が部下を評価するときに、そういう判断をすぐできるかどうかも重視しています。

かばんは持たない。持ち物は最小限に

私自身、思い立ったらすぐ行動するタイプなので、できるだけ身軽でいたいと思っています。ですから持ち物は最小限にしています。

これを言うと驚かれるのですが、かばんを持っていません。代わりに愛用しているのが、自社の紙袋。「歩く広告塔」になっています(笑)。軽いうえに、違う大きさの袋を重ねると隙間をコンパートメントに使うことができます。すぐに使う書類としばらく置いておく物とに分けて整理でき、破れたら破れた部分のみ交換できるので重宝しています。

すぐ動く・すぐやることを意識して、紙袋のコンパートメントで仕分けしていれば、目の前の仕事にグッと集中して取り組むことができます。しかし、長時間集中力を持続させることは不可能であり、「急急だらり急だらり」の「だらり」も必要となってきます。

私にとっての息抜きは愛犬・ジャスミンの写真を見ること。仕事机の上にはいつもジャスミンの写真を飾っています。娘のように可愛いがっていましたが、悲しいことに亡くなってしまいました。しかし、昔の情景を思い出すと今でも私の心に安らぎを与えてくれます。

週末には、仕事が一段落したら一度頭の中を空っぽにし、思索にふける時間が大切になってきます。落ち着いた雰囲気の中に浸ると、遠大な境地に到達します。静かな落ち着いた雰囲気の中でふっと次の夢や明日への意欲が湧いてくるのです。多忙の中ではそのような境地に至ることは難しい。

「忙しい」という漢字は、「心を亡くす」と書きます。心を亡くしてはいい仕事はできませんから、心に落ち着きと静けさを持つことが非常に大切です。

私が思うに、仕事をすぐやるためには、知力・気力・体力が大事になります。すぐに決断する習慣は常に頭脳をフル回転させることで得られますから、そのためには前述したように精神面を整えることもとても重要です。また、言うまでもなく体の頑強さも求められます。つまり、健康が最も大切なのです。

私の仕事部屋には、健康器具がたくさん置いてあります。特にお気に入りなのが、首のコリを解消する器具です。

首のツボ押し、肩をほぐす器具をいくつも持っていて、いつもマッサージをしています。どうしても、パソコンの画面を見ながらデスクワークをすると血流が滞り、脳を最大限働かすことができません。そうならないためにも、首から肩のコリのケアには気を使っています。

ほかにも健康のための器具はたくさんあります。デスクのすぐそばには、ツイストのように腰を回す器具を置いていて、軽い運動をすることでリフレッシュしています。ほかにも長い間使っているものだと、背筋を伸ばすためにゴムを使ったトレーニングをしています。両手でゴムを持って背面に回し、片方の手を上に、反対の手を下にぐっと伸ばし、ゴムをピンと張る。そうすると背筋と腰がまっすぐになるだけでなく、筋力アップにも効果があります。

サプリメントも何種類か飲んでいます。弊社グループ会社SBIアラプロモが販売している「アラプラス ゴールド」や腸内環境を整えるためのサプリメントを毎日欠かさず飲んでいます。

さらにこだわっているのが水です。知り合いの先生にご紹介してもらったものを試して、自分でいいと思ったら続けて愛飲しています。

即決即断せよ。最後はソリティア

経営トップというのは、即決即断で仕事を処理していかなければなりません。直観力や知識・経験に基づいて判断していますが、どうしてもそれだけでは判断がつかないこともあります。

そのときに私が頼るのが、パソコンのトランプゲーム「ソリティア」です。3回勝負するのですが、「もし2勝できればA案にしよう」とか「負けたら諦めよう」とかルールを決めておきます。やり込んでいるから、それなりの確率で勝利できるのですが、負けてしまった場合には天の啓示だと思って、謹んでその結果を受け入れます。努力を尽くした後の最後の最後には、運に身を任せることも必要だと思います。最後は、任運・任天です。

SBIホールディングス社長 北尾吉孝
1951年、兵庫県生まれ。74年慶應義塾大学経済学部卒業、同年野村證券入社。78年ケンブリッジ大学経済学部卒業。99年ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)社長就任。