競馬や競輪は公営ゆえ許される

IR(統合型リゾート)推進法が施行された。今回施行されたのは、プログラム法。カジノをつくる方向性やスケジュールは決まったが、詳細は新たに法律をつくって詰めていく。どうして2段階で法制化したのか。賭博罪に詳しい津田岳宏弁護士は次のように解説する。

「カジノの各論に入ると、揉めて話が頓挫してしまうおそれがあります。そこでまず総論でカジノをやることを決め、1年以内を目途に必要な法律をつくるという締め切りを設けました」

今後、具体的に議論になりそうなのは賭博罪との整合性だ。競馬や競輪など公営ギャンブルはどうやって辻褄を合わせているのか。競馬や競輪は賭博だが、競馬法や自転車競技法などの「特別法」をつくって違法性を阻却している。

「競馬や競輪が許されているのは公営だから。昭和の時代に、競馬や競輪を特別扱いするのは憲法の平等原則に反するという訴訟が起こされました。それに対して、裁判所は公営だから特別扱いに合理的根拠があると判断をくだしています」

しかし、今回の法律によって、カジノを設置するのは民間業者となる可能性が高い。なぜなら、まず、国にはカジノ運営のノウハウがない。また、競馬や競輪とカジノでは胴元の立ち位置が違う。競馬や競輪の胴元は客同士の賭博を管理するだけ。一方、カジノは胴元と客の勝負なので理論上は胴元が負けることもありえる。公営にして負けたら税金から払うというのでは、さすがに国民の理解が得られない。やるなら民営以外に考えられず、競馬や競輪と同じ理屈は使いづらい。

民営のパチンコが認められる理由

一方、民営なのに堂々と営業されているギャンブルもある。パチンコだ。政府はパチンコについて、風営法で規制されているから賭博罪にあたらないという見解。実際、パチンコ店は営業時間や出玉を制限されている。カジノも同じように規制すれば合法化できるということなのか。

「パチンコは未成年の入場が可能な点など緩い部分もある。カジノを民営でやるなら、パチンコ以上の厳しい規制をかけ、かつ許認可制にして公の網をかけるというように、パチンコと公営ギャンブルを組み合わせたような法の建てつけでやることになるでしょう」

公営ギャンブルもパチンコも強引な辻褄あわせで違法性を免れている。それらを組み合わせても、辻褄あわせがもっと苦しくなるだけのようにも思える。

津田弁護士は「この際、賭博罪そのものを見直したほうがいい」と提言する。

「イギリスは1960年代にギャンブルを解禁しましたが、問題は起きていない。暴力団の資金源にならないようにするなど、業者側への規制は必要ですが、利用者のほうは自由でいい。無理やり整合性を取るより、賭博罪を緩和したほうが筋は通ります」