コツコツ働いて、しっかりためる――。これは日本人の美徳の一つだ。

日本人は農耕民族型といわれ、常日頃から真面目に働き、天候不順など将来のリスクに備えて余った財貨はしっかり蓄えてきた。そんな気質は現代の日本人にも引き継がれ、個人金融資産の5割強を預貯金が占めているのもその気質が影響している。

ところが、このことを捉えて「日本人は金融リテラシー(知識・活用する能力)が乏しい」とことさら強調し、「貯蓄から投資へ」と声高に叫ぶ風潮も一部に見受けられる。しかし、それに惑わされてはいけない。同じ手持ちのお金でも「守るお金」と「攻めるお金」に分かれる。その選別基準は、いま自分が置かれているライフステージや、個々人の価値観なのである。

具体的にいうなら、現在の所得と保有資産、そして将来見込むことのできる収入を勘案したうえで、一定水準の生活を維持するために必要となってくるものが守るお金である。そして、その守るべきお金を差し引いて余った分が、より豊かに暮らす可能性を追求するために運用できる攻めるお金となる。

いま、まず考えるべきは虎の子ともいうべき守るお金をどうするか。少しでも増やすことを考えたら、預金の形で持っておくのがベストだ。もし預金先で迷っているのなら、その人は自分の金融リテラシーが高いと自信を持ってほしい。

なぜなら、2009年前半には、高い確率でデフレ局面に入ると見ているからだ。すでに、原油や鉄などの市況はピーク時から大きく落ち込み、いずれ消費者物価にも影響してくる。物価の下落は、お金の価値の上昇を意味する。ここはおサイフ替わりに預金を活用しよう。預金の表面金利は変わらなくても、物価が下がった分、実質金利はアップする。

資産運用面では優劣の差はなし

肝心の預金先だが、金利を見ると銀行の普通預金の平均が0.12%、ゆうちょ銀行の通常貯金が0.13%となっており、資産運用という面ではほとんど変わらない。また、ともに預金保険制度で守られていて、元本1000万円までと、その利息も保護される。ここはやはり、個々人のライフステージなどによって選択していくのがいいだろう。

30代で新居の購入を考えている人なら、住宅ローンのことを念頭に置いてみる。スルガ銀行と提携してゆうちょ銀行も住宅ローンを扱うようになったが、まだ利便性はそう高くない。一方、銀行預金をしておけば、それを担保にローンを組みやすくなる。さらに、給与振り込みの口座にしておくと、ローン金利が優遇されたりすることもある。

しかし、地方に行くとメガバンクの支店があるのは県庁所在地と県内で2、3番目に大きい市くらい。当然、預金先の選択肢は限られる。その点、地方に住む人には、全国津々浦々に2万4000強もある郵便局のネットワークを持つゆうちょ銀行の使い勝手は捨てがたい。

それでまだ手元に攻めるお金が残っていたら、長期的な視点で株式に投資するのも手だ。自動車、電機などの優良株は大幅に値を下げていて買い時だと見ている。しかし、信託報酬や手数料が高い投資信託には手を出さないほうがいい。