50代で6割以上の人がなる「白内障」。目のレンズ(水晶体)が濁り、視界が見づらくなる病気です。診断テストと予防の方法を聞きました。

老眼かと思って眼科に行ってみたら、別の病気が発覚――というのはよくある話だそうです。むしろそこで見つかってよかったというのが眼の病気。なぜなら、まったく気づかぬうちに進行していて、分かったときには手遅れとなり失明してしまう……というケースが多いから。その代表格が「白内障」と「緑内障」です。

白内障と緑内障。名前を聞いたことはあっても、日頃あまり話し合う機会はないかもしれません。実は、海外における失明原因の第1位が「白内障」なのに対し、日本人の失明原因の第1位は「緑内障」。

彩の国東大宮メディカルセンターの平松類医師によれば、白内障は視界がどんどん見づらくなり、緑内障は視野が欠けていく病気で、どちらも始まったら進行を止める治療くらいしかできないといいます。つまり、日頃のケアが大変重要であり、そうなる前から知識を得ておくことが大切なのです。

あなたは大丈夫? 白内障診断

あなたは白内障になっていないでしょうか? まずは簡単なテストをしてみましょう。以下の質問にお答えください。

□何となく見にくい気がする
□テレビや映画の字幕が見にくい
□離れた人の顔がわかりにくい
□長時間の読書が疲れる
□太陽の光がまぶしく感じることが多い<
□月が2~3個に見えることがある
□以前と色合いが違って見える
□左目と右目で見え方が違う
□階段の上り下りに不安を感じることがある
□目がうっとうしく重いことがある

1個以上:白内障要注意/3個以上:白内障の可能性が高い/5個以上:要病院受診
(「その白内障手術、待った!ー受ける前に知っておくこと」平松類著/時事通信社より引用)

白内障とは、目の中でレンズの役割を果たしている水晶体が硬くなり、白く濁ってしまうことでさまざまな症状が出る病気です。人によって症状は違いますが、明るくまぶしく見える、逆に視界がぼやっと暗くなる、文字がかすれる、かすむ、二重に見えるといった状態になります。

みなさんは自分の利き目がどちらかご存じでしょうか。利き目の白内障が強くなると、生活に不自由を感じやすくなりますが、利き目と逆の場合は進行に気づかないことがあるそうです。また、手元が見にくくなってくるため、老眼が同時に起こります。そのため老眼と区別できないことも多いと平松医師は話します。

「『なんだか見づらいな』という状態から、徐々に進行します。ずっと老眼だと思っていたら、実は白内障だったということもあります。視力に問題がなかった方だと、老眼なら遠くは見えて手元が見づらくなりますが、白内障だと水晶体そのものが濁りますから、遠くも近くも見づらい。これが両者の違いです。全体が真っ白になる人もいれば、部分的に白くなる人もいて、症状はいろいろです。

白内障は特別な人がなるものではありません。99.9%の人間がなると思ってください。人間、年を取ればいつかは白髪になるのと同じに、年を取るとレンズが濁るのです。ただ、白髪は見た目だけの問題ですが、白内障の場合は視力に問題が生じるため、生活に影響が出ます。生卵をゆでると、白身が白く硬くなるのと似ており、1度そうなったら二度と元通りにはなりません。海外では失明原因の第1位が白内障。侮れない病気です」

白内障は他人の話ではなく、誰もがいつかはなる可能性が高い病気であること、一度なったら進行を止める予防的な治療しかできないことを知っておきましょう。

50代で60%以上の人が白内障になる

平松医師によれば、50代で60%以上の人は白内障になるといいます。しかし老眼と同じで、10代~30代と若いうちに手術をする人もいるそう。できれば1日でも遅らせたいものですが“年を取りやすい生活をしている人”は白内障になりやすいといいます。

「白内障になる人もいれば、ならない人もいるのですが、それは目のダメージと目の回復のバランスで決まります。目のダメージとは、怪我をしやすい生活や、目をこする生活、薬を飲んでいる、紫外線をよく浴びる人ですね。目は光のダメージを直接受けやすく、酸化(=老化)しやすいからです。だから進行しやすい人は、光をとても見ている人。パソコンのモニタもそうですし、一般に、紫外線が多い、南に住んでいる人のほうがなりやすいです」

目の回復とは食事、つまり栄養のバランスを指します。年を取りやすいのは、すなわち体が酸化しやすい状態であり、抗酸化物質が不足した食生活を送っている人だそうです。

「ストレスの多い方は老化しやすいですし、糖尿病の方もなりやすいです。過剰な飲酒で白内障が進んでしまうこともあります。メタボの人もなりやすいですが、逆に痩せすぎの方、治療でステロイド剤を使用している方、喫煙されてる方も注意が必要です。喫煙すると血管が収縮するので目の血流が悪くなり、発症の確率が2.8倍に増加するというデータがあります」

白内障はどうやって治療するのか

検査によってもし白内障だと分かった場合、その治療は点眼薬で進行を止めるか、手術をするかのいずれかになります。白内障の手術とは、水晶体を人工のレンズに交換すること。手術自体は10~30分程度で終わりますが、人工のレンズは水晶体と違って厚みが変わらないので、完全な老眼状態となります。

「手術後は、遠くははっきり見えますがそれ以外は見にくいです。老眼状態なので、遠近両用メガネをかけていただくこととなります(5mなど遠くにピントを合わせた一般的な単焦点レンズの場合)。つまり手術+両用メガネです。手術後1カ月は度数が安定しないので、メガネを作るなら1カ月経ってからになります。先進医療の中には2焦点や3焦点というレンズもあり、そちらを選択される方もいます。ただ(単焦点のレンズに比べ)鮮明度が落ちるというデメリットがあります」

水晶体を人工レンズに交換することでふたたび綺麗な視界が手に入りますが、手術をしなくてすむならそのほうがいいと平松医師は語ります。手術に伴い、感染症などの危険が当然あるからです。

「不安で、できる限り手術を受けたくない人はぎりぎりまで待つのも手ですが、不自由を感じたり、目を使うことが多い人は、早めの治療をおすすめします。最近は日帰り手術がスタンダードですが、不安が強い場合や高齢で行き帰りが難しいときは入院を希望されてもかまいませんよ。でもまずは目薬がいいのか、手術がいいのか、自分の希望する治療方針をきちんと医師に伝えてください。また、普段飲んでいる薬や体の病気、特に目に関する怪我などはちゃんと伝えましょう」

医師と相談する際に1つ知っておきたいのは、医者と患者で言葉の意味に食い違いが生じやすい点。たとえば一口に視力といっても、医者と患者では意味が違うことが多いといいます。

「医者は視力というとメガネをかけた矯正視力のことを言いますが、一般では裸眼視力のことだと思っています。ここをハッキリさせておかないと、術後に医者は視力が回復したと言っても、患者さんは裸眼で元通りに見えていないので失敗したと勘違いすることがあります」

白内障を遅らせるには、紫外線を避けるべし

平松医師によると、目にダメージを受けやすい人、ストレスが多く、老化しやすい生活を送っている人が白内障になりやすいとのこと。具体的にはどんな対策をすればいいのでしょうか。

「光なら紫外線を避けていただきたいです。日傘やつばの広い帽子、UVカット機能の入ったメガネ(サングラスなど)で直射日光を避けてください。サングラスは色は関係ありません。紫外線の吸収率が問題なので、UVカットされていれば色がついていなくてもOKです。光から距離を取るのも大切です。スマホなどは特に注意ですね。30cm以上離して見るほうがいいです。

目への直接的なダメージも問題です。実は、目をかく、目をぶつけるといったことも白内障の原因になります。アトピー性皮膚炎の方は目をかくことで白内障になりやすい。ゴシゴシ目をかくのは、目に傷を付けているようなものです。大人でもアレルギーがあって、ついつい目をかいてしまうことが多い人は30~40代で手術というケースもありますね」

最近のメガネのレンズは標準でもUVカット機能付きのものが増えています。長らくメガネを調整していないという方は、一度チェックしてみましょう。

食生活で意識したいのは、酸化のダメージから守ってくれる成分、抗酸化物質の摂取です。ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンが目にいい、というのは有名ですが、ほうれん草に多いルテイン、果物のカシスに含まれるカシスアントシアニン、ビタミンC、ごま、大豆に多いビタミンE、納豆や卵に含まれるビタミンB2もいいそうです。

「過剰な飲酒はむしろマイナスですが、赤ワインにはポリフェノールという抗酸化物質が含まれているので、白内障リスクを50%減らすといわれています。また、どうしてもバランスを整えにくい方は、複合サプリメントを活用してもいいでしょう」

挨拶されても見えておらず気づかないと、相手との関係もギクシャクしがち。目の不調や病気は、人間関係にも影響を及ぼします。白内障は避けられないものとはいえ、進行は最小限に食い止めたいものです。