──2016年8月21日(日本時間22日)、パエス・リオ市長とIOCバッハ会長から、小池百合子東京都知事へのフラッグハンドオーバーセレモニーで終わりを告げたリオ五輪。その小池氏と都知事選を争ったマック赤坂氏もリオに滞在していた。マック赤坂氏のリオ五輪観戦記をお届けする。

私は天下の伊藤忠商事で25年働き、その後はレアメタルの専門商社マックコーポレーションの経営者(プレジデント)として20年やってきたビジネスマンだ。最盛期の売り上げは50億円、現在でも20億円の売り上げを誇る。いつも仕事で中国やアフリカなど世界中を飛び回っている。

今回は五輪の開会式を含む1週間をブラジルで過ごした。都知事になっていれば閉会式のセレモニーまで滞在するつもりだったのだが、小池百合子に負けたのだから仕方がない。ホテルは、世界中のセレブが憧れるコパカバーナビーチ近くのプール付き。五つ星評価の中で一番安いところをオンラインサイトで予約したが、ホテル代が高騰していて7泊で50万円もかかった。

ブラジルでの滞在をとても楽しみにしていたのだが、楽しい気分も飛行機を降りるまで。まず、アメリカのサイトで購入した開会式のチケットが詐欺だった。いろいろと手を尽くしても、結局チケットは手に入らない。仕方なく会場付近でダフ屋から買おうとしたが、チケットがないと地下鉄にも乗れないという。無理にゲートを突破しようとしたら、駅員に羽交い締めにされ、駅を追い出されてしまった。

テニスの試合はダフ屋から買ったチケットで見に行った。でも、錦織圭が銅メダルを取った試合じゃなく、聞いたことのない選手同士のダブルスの試合だ。私以外の人間にとっても知らない選手だったらしく、席はガラガラだった。それなのに、片方の選手がブラジルの選手だから、応援がうるさくて耳障りで仕方ない。試合のレベルもそんなに高くなかった。

タダで見られると思ったから、ヨットの試合も見に行った。海岸に行ったら、20ドルも取られてびっくりだ。しかも、海岸からはヨットが見えないから、大きなテレビ画面を通しての観戦である。雨が強くなってきたし、どうせテレビ画面を見ているだけなのだから、と日本チームまで見ないでさっさと帰ることにした。結局日本の女子チームは5位だったし、これは早めに帰って正解だった。

以上が、私がリオオリンピックで見たことのすべてだ。

ホテルはコパカバーナビーチから徒歩10分。でも、ファベーラ(貧民窟)のど真ん中で、ビーチへ行くにもファベーラを通る必要がある。言葉も通じないし、毎日Twitterなんかで「日本人が強盗に襲われた」という物騒なニュースが入るから、怖くてホテルから出られなかった。1週間滞在して外に出たのは観戦の2回だけだ。誰かが襲ってくるのではないかと思って、毎日ベッドで小さくなって、貴重品を抱き締めてスマホで映画を見ていた。

初日の夜、私が眠っていると、夜中の2時頃に外でドラムの音が鳴って、ギャーとかいう叫び声が聞こえてきた。窓を開けると、ファベーラの奴らが踊っているのが見える。すごい騒ぎだった。それが毎晩、朝の5時まで続く。長い日はお昼まで続いた。ホテルにうるさいと苦情を言っても、「諦めろ」と取り合ってくれない。もちろん警察なんか来ない。

私はもともと1日1食しか食べないから、食事はホテルの朝食で済ませようと思っていた。それなのに料理人がいないとかで、料理は茶色い麦のパンと卵。目玉焼きが食べたかったけど、英語が通じない。最後にはジェスチャーで自分の目玉を指差してみたけど、まったく通じなかった。

期待していたホテルのプールもすごかった。死体が浮いていてもおかしくないような汚い水に、プカプカ藻が浮いているのだ。それに、ナチュラル志向だとかいって、ホテルにはテレビもインターネットもなかった。貧乏だった幼いころを思い出してしまった。

来年は、千葉県知事選挙、都議会議員選挙と忙しくなる。ゆっくりできなくて残念だった。

(文中敬称略)