老後のさまざまな生活設計も、すべては健康であってこそ。そして、働き盛りのあなたの体の中でも、すでに老化現象は始まっている。最新の科学的知見に基づいた、今日から始めるアンチエイジング習慣。

40代の筋肉量は、20代時より激減

一般的な現代人は、筋肉をあまり使わずに生活しています。そうした生活を続けていると、加齢とともに筋肉量は減少し、脂肪に置き換わってゆきます。個人差や部位による差はありますが、40代の筋肉量は20歳時より2~3割も減ります。その結果、基礎代謝が低下して太りやすくなり、高齢になったときにはいよいよ筋力が衰えて、歩くことさえ不自由になってしまいます。

筋肉に負荷をかけない生活は、骨ももろくします。骨は筋肉と同様、負荷による微細損傷を修復することで強くなっていくからです。筋肉や骨、関節などの障害で、自力での移動が困難になる「ロコモティブシンドローム」を防ぐには、筋肉や骨の衰えを食い止める、意識的な筋力トレーニングが不可欠です。

ここでおすすめしたいのが、筋肉に軽い負荷をかけ続けつつ、ゆっくり動かす「スロー筋トレ」です。筋肉を継続的に収縮させることで血流を制限し、乳酸生成と成長ホルモンの分泌を促して、加圧トレーニングと同様に、軽い負荷でも高い筋力増強効果を発揮します。

重視したいのは、大腿四頭筋、大臀筋、大腰筋、腹筋、背筋など、大きな筋肉のトレーニング。なかでも「スローハーフスクワット」は、日常生活を維持するうえでもっとも重要な大腿四頭筋に加え、臀筋や背筋など、大事な筋肉を効率よく鍛えられる「筋トレの王様」です。

筋肉に負担をかけながら、ゆっくりねじる運動も効果的です。「スローツイスト」は、体幹の筋肉として重要な大腰筋や、腹筋を強化します。「バックツイストマトリクス」は、背筋を鍛えるとともに、脇腹の引き締めにも有効です。

ポイントは、無理をしないこと。「痛い」「苦しい」と感じる負荷は強すぎます。最初のうちは5回程度の反復から、物足りないと感じる程度の負荷で行いましょう。3つの筋トレを一度にやってもいいし、すきま時間に1種類ずつ行うのもいいでしょう。これら3つの運動に、靴のサイズの半分ほどの歩幅で前後に8歩程度往復を繰り返す、ゆっくりしたジョギングを有酸素運動として組み合わせれば、室内でもできる効果的なサーキットトレーニングになります。

筋肉量が増えれば代謝も増え、太りにくくなるとともに血糖値も上がりにくくなります。生活の中に筋トレを組み入れ、いい循環をつくっていきましょう。

短時間で効果絶大の「スロー筋トレ」

▼大腿筋を鍛える「スローハーフスクワット」

(1)脚を肩幅に開き、両手を前に伸ばす。
(2)ひざから下をできるだけ垂直に保ち、おしりを後ろに引くようにしながら、5秒ほどかけて腰を落とす。
(3)ひざが伸びきる手前まで5秒ほどかけてゆっくり戻し、休みを入れずにまた(2)の動作を始める。無理のない範囲で5~10回。

▼体幹の筋肉を鍛える「スローツイスト」

(1)脚を肩幅に開いて立ち、左脚を浮かせる。
(2)左ひざをゆっくり上げつつ上体をねじり、5秒ほどかけて右肘を左膝につける。
(3)5秒ほどかけて、ゆっくり脚を戻す。床に付く手前でまた(2)の動作を始める。無理のない範囲で5~10回。右脚でも同様に。

▼背筋を強化する「バックツイスト マトリクス」

(1)脚を肩幅の2~3倍に開いて立つ。
(2)左手を上げて背中を後ろに反らしながら、右手で左ひざの裏側にタッチするイメージで、ゆっくり体をひねり、ゆっくり戻す。
(3)反対側も同様に。無理のない範囲で左右5~10回ずつ繰り返す。

健康創研代表 菅野 隆(かんの・たかし)
健康運動指導士、日本健康運動研究所代表。筑波大学体育専門学群で運動生理学を専攻。健康増進に関する事業の企画や運営、プログラムの開発など、エビデンスに基づいた運動法や健康増進法を伝える活動を展開。