派遣の平均時給がアップしている。過去最高時給の営業職、案件増加でITエンジニアは右肩上がり――。作業別平均時給ランキングを発表する。

仕事ならいくらでもあるのに、人がいない!

派遣業務の平均時給がアップし続けている。中でも営業職が1398円、ITエンジニアは2031円と、過去最高時給を記録した。表は2015年12月時点での三大都市圏(関東・東海・関西)の職種別平均時給とその推移だ。大手人材派遣会社のエン・ジャパンが運営する「エン派遣」に掲載された求人情報を集計し、募集時の平均時給をまとめたものである。派遣業務全体でも26カ月連続で前年同月比プラスを更新しており、時給上昇の勢いが見てとれる。

「上昇している理由のひとつとして、シンプルに人手不足が挙げられます」と話すのはエン・ジャパン派遣会社支援事業部長の深井幹雄氏だ。景気向上で需要と供給のバランスが崩れ、各企業が限られた人材の取り合いをしている状態なのだという。

「もうひとつは派遣法の改正です。民主党時代の『派遣は悪だ』というイメージが待遇改善や雇用期間制限の見直しなどにより薄れ、労働者の派遣に対する抵抗感が無くなってきました。企業側も景気がいいので派遣へのニーズが増えています」(深井氏)

過去最高時給を記録した営業系とITエンジニアだが、どのような動きが記録更新に繋がったのだろうか。

「営業系は扱う商材の変化、ITエンジニアは開発案件の増加が人材の需要を加速させていることが大きな理由です」と深井氏は話す。

これまで営業系で多かった携帯や家電といった通信系が一定数をキープしつつも、アウトレットや大型ショッピングモールでの採用が増えているという。これはインバウンドに対応するニーズが増えたためだ。ITエンジニアはマイナンバーに対応するパッケージ開発や、クラウド化していくサービスに合わせたサーバー運用など、新しい案件が増え続けている。日進月歩で必要となる開発言語がどんどん変わっていることも要因のひとつ。まさに「仕事ならいくらでもあるのに人がいない!」という状態が、過去最高時給を記録した理由といえる。

非正規雇用の待遇改善は本当に進むのか

気になるのは、同じデスクワークながらも、オフィスワーク系とクリエイティブ系の200円近くもの時給の差。これは雇用企業側が求める人材の違いが時給の差へ繋がっているという。

「オフィスワーク系は事務や経理といった昔からある仕事です。若い未経験者でも実務を通じて力が身につきます。比べて近年クリエイティブ系に多いのが、ソーシャルゲームなどのディレクターやデザイナーといった仕事。専門的なスキルが必要なため『若くないが技術はある』といった経験者も多く採用されています」と深井氏は話す。フリーランスのベテランが、年齢と共に自力で仕事を獲得するのに疲れ、派遣で働き始めるというケースも珍しくないのだという。

右肩上がりの派遣時給は、企業の需要と人材数のバランスが崩れていることが大きな原因ということがわかったが、今後はどのような見通しになるのだろうか。

「前述したインバウンドは中国からだけでなく、アジア各国へと増えています。オリンピックもあり、今後も人材需要は増え続けると見られます。特に観光客に密接した販売系は間違いなく急増するでしょう。ですが、時給アップで採用できる層はすでに採り切ってしまっているのが現状。時給競争に限界が来た今、各企業は待遇や働き方の改善で人材を確保しようとする動きが増えると考えられます」(深井氏)

安倍首相が「非正規雇用の待遇改善」という指針を表明したこともあり、今後も派遣時給のアップは続く見通しだ。雇用形態への大きな動きも注目していきたい。