医療と介護の両分野で払い戻しが発生

医療費や介護費が高額になった場合に、その一部が払い戻される仕組みがある。医療保険は「高額療養費制度」、介護保険は「高額介護サービス費制度」と呼ばれ、それぞれ1カ月の自己負担額が一定の限度額を超えると、その超えた分が申請により取り戻せる。

さらに2008年4月からは、年間の医療費と介護費を合計した額が一定の限度額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される「高額医療・高額介護合算制度」が新設された。

介護が必要な高齢者の多くは何らかの疾病を抱えており、医療や介護にかかる費用は家計に重くのしかかる。後期高齢者医療制度などで高齢世帯の保険料負担も増えていることから、負担軽減を目的に導入された。

対象となるのは、毎年8月から翌年7月までの1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額。ただし、2008年度から制度がスタートしたため、初年度に限り08年4月から09年7月までの16カ月分となる。

高額療養費制度や高額介護サービス費制度で払い戻しを受けていても、なお残る自己負担額が限度額を超えるようならば申請可能だ。例えば、国民健康保険に加入している70歳以上の一般世帯であれば、年間56万円(限度額)を超える費用が対象となる。同じ医療保険に加入している家族がいれば、その分も合算できる。両親ともに介護や医療が必要な状態であれば、払い戻しの対象になる可能性は高い。場合によっては、申請の有無により年間で数十万円の差が出るケースも考えられる。

限度額は加入している医療保険や対象者の年齢、所得によって異なるので、詳しくは図表を参考にしてもらいたい。

ただし、合算できない費用もあるので注意が必要だ。入院時の食費や差額ベッド代、介護施設での食費や居住費(部屋代)、福祉用具の購入費、住宅改修費は対象にならない。在宅で介護サービスを利用する場合は認定ランク別に上限額が設定されているが、それを超えた分も対象外だ。

手続きは、まず市町村の介護保険課で「自己負担額証明書」を発行してもらい、それを加入している医療保険の窓口(国民健康保険や後期高齢者医療制度は市町村)に添付して申請する。

受け付けは2009年8月からスタートするので、忘れずに手続きしておきたい。申請期限は2年間となっている。

このほかにも、医療や介護にかかる費用を軽減できる仕組みがある。親が住民税非課税世帯であれば、入院時の食費や、介護施設での食費・居住費が安くなる。例えば、介護老人保健施設に入所すると食費は月4万2000円程度かかる。それが非課税世帯だと1万~2万円で収まる。およそ2万~3万円安くなる。

いずれも市町村の医療保険または介護保険の窓口で「減額認定証(負担限度額認定証)」を交付してもらい、病院や施設に提示すれば適用となる。ただし、認知症高齢者グループホームや介護付き有料老人ホームは対象外だ。

在宅介護ではオムツ代も意外にかさむが、市町村によってはオムツ代を助成したり、オムツの現物を支給しているところもあるので、ぜひ活用したい。介護付き有料老人ホームでは介護費用のほかにオムツ代が必要になるが、持ち込み可能なホームであれば、こうした制度を利用すると費用軽減が可能になる。詳しくは市町村の高齢福祉担当窓口か、最寄りの地域包括支援センターに尋ねてみよう。

※すべて雑誌掲載当時