老境に入ったとき、あなたは「わが人生に悔いなし」と思えるだろうか──。55~74歳の男女1000人に緊急アンケートを行い、その本音に迫った。現役世代の私たちが今からやるべきことを専門家にアドバイスしてもらうとともに、先輩方の「後悔していることトップ20」を発表する。
調査概要/gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「人生の振り返り」に関するアンケートを行った。2012年9月25日から27日まで実施し、55~74歳の男女1060人の回答を得た。男女比は約7:3。

歯と糖尿病を患うと取り返しがつかない。日頃のケアと食事・運動が、明暗を分ける――聖路加国際病院理事長・名誉院長 日野原重明

健康について後悔していることの第1位は、「歯の定期検診を受ければよかった」。歯はよほど痛くなければ放置しがちだが、聖路加国際病院理事長の日野原重明先生によると、歯の健康を保つことこそ長寿の秘訣だという。

「歯と歯茎の間からばい菌が入って歯周病になると、その菌が全身をめぐってインスリンの活動に障害を起こし、糖尿病の原因になることが最近わかってきました」

毎食後の歯磨きはもちろん、虫歯がなくても2~3カ月に一度は歯科でチェックしてもらうようにしたい。101歳の日野原先生自身、今も17本の歯が残っているという。

そんな日野原先生に、元気で長生きするコツを聞いてみた。

「まず、定期的な健康診断を受けること。症状がなくても病気が潜伏していることがありますから。特に日本人の死因の半分を占めるがんは早期発見・早期治療が原則」

アンケートでも、「定期的に健康診断を受ければよかった」が16位、「軽い不調を侮らず早めに治療すればよかった」が17位にランクイン。「自覚症状が出てから検査に行ったら、大腸がんステージ4だった」(64歳・男性)

「子宮筋腫で子宮を全摘。手術後も長く体調が悪かった。定期的に健診を受けていたら早期発見で軽い手術で済んだはず」(60歳・女性)など、早期発見・早期治療がいかに大切かがよくわかる。また、65歳以上になると、「糖尿病にさえならなかったら……」(67歳・男性)と、糖尿病を嘆く声が続々と上がった。これも定期検診を受けていれば、血糖値の異常が早期に発見されて、生活習慣を変えるだけで悪化を防げたはずだ。

自分で自分の体調に関心を持ち、管理することも重要だ。日野原先生は体重計、体温計、血圧計を三種の神器と呼び、自宅でのこまめな計測を勧める。

「病院で測ると緊張して血圧が高くなってしまうけれど、家で測れば正確。上は140、下は90を超えたら降圧剤を服用します。それから体重も毎日測って、30歳のときの体重を超えないように」

30歳をすぎると内臓に脂肪がつき始めるため、そうなる前の体重を自分の規準として維持する。そのためには食事に注意が必要だ。

「宴会やパーティーに行って、会費が3000円なのに、4500円分食べるからいけない。激しい運動をするならともかく、そうでないなら、年とともにカロリーを制限すること」

年齢にともなって食事の調節を

欲求のままに食べ続けると、年をとってから肥満や生活習慣病に嘆くことになるようだ。「腹八分目を守り、暴飲暴食をしなければよかった」が4位、「間食を控えればよかった」が5位と、上位にランクイン。「甘いものが好きで、間食もするし、寝る直前にもつまんでしまい、若い頃より20キログラムも体重が増えた。少々の運動ではもう元には戻らない」(68歳・男性)「もう少し食事を制限していれば、糖尿病にはならなかったかもしれない」(73歳・男性)などの回答が見られた。

食事の内容にも注意し、野菜とタンパク質を多く、糖質を少なく摂ることを心がけるべきと日野原先生は言う。

「野菜は大皿いっぱい。特に長寿のビタミンと言われるブロッコリーは積極的に摂りましょう。肉はヒレ肉のように脂身の少ないものを週に2回。魚は週5回。ご飯、麺類、じゃがいもなどの糖質は控えめに。脂肪はオリーブオイルを例外として、やはり控えたほうがいい」

ちなみに日野原先生は、毎朝野菜ジュースにオリーブオイルをテーブルスプーン1杯入れたものを飲んでいる。同時に摂るのが大豆からとったレシチンのサプリメントだ。

「これは脳の細胞をつくる働きがありますから、記憶力を補うには非常にいい。豆乳などを飲んでもいいですね」

さらに日野原先生が提唱する健康法の一つが「うつぶせで寝る」こと。

「動物はみんなうつぶせで寝ますね。そして動物に不眠症はない。それが本来の自然な寝方だからです」

長寿のために大事なのは体の健康だけではなく、「心」の健康も意識したい。そのためには「よき友を持つこと」だと日野原先生は強調する。

「若い年下の友達を持つこと。やもめになったら再婚するか、パートナーと同棲することも勧めます。文化的な趣味を生きがいにすると、充実した老後が過ごせますね」

聖路加国際病院理事長・名誉院長 
日野原重明

1911年、山口県生まれ。京都帝国大学医学部大学院博士課程修了。41年より聖路加国際病院に内科医として勤務。2005年、文化勲章受章。