政権交代以降、経済の局面は大転換。いま、1年後、老後の生活はどのような影響を受けるのか。インフレに強い暮らし方を紹介する。

いま黒字家計の人こそ、気を引き締めるべきだ。アベノミクス効果で物価が上昇し、消費税が10%まで引き上げられた後の家計が、赤字に転落する可能性が高いからである。

表を見ていただきたい。年収700万円の夫婦(妻は専業主婦)、子供2人の標準的な家計簿である。毎月約2万4000円の赤字が出ているが、ボーナスで埋めて年間収支は黒字になっている。完璧とは言えないが、こんなものだろう。

ところが3年後、物価は年2%ずつ上昇し、消費税が10%まで引き上げられ、厚生年金保険料が0.531%上がる(厚生年金保険料は2017年まで毎年0.354%ずつ引き上げられる。3年で1.062%上昇するが労使折半)と、FPの村井英一氏のシミュレーションでは「生活レベルが同じでも家計は赤字に転落してしまいます」。

「給料が上がらないことを前提にすると、赤字を減らすには視野を月単位から年単位へ広げるしかありません」とFPの畠中雅子氏はアドバイスする。

「誰でも食費のような変動費を減らすことを考えるのですが、この家計では食費を減らすことは無理でしょう。そこで年単位で考えて出費の大きい固定費を削るのです」

たとえば自動車保険を月払いで払っているなら年払いに変える。それだけで保険料が5%程度(保険会社により異なる)節約できる。

さらに、家族全員が持つようになったスマートフォンや携帯電話。通信速度が速くなっているので、自宅に引いているインターネット回線を解約するという手も。固定費は一度減らせば、その効果がずっと持続するというメリットがある。

そのうえで聖域にも手を付ける。教育費の見直しである。まずは「子供に対する情報開示が必要」と畠中氏は言う。

「詳しい家計の状況まで教える必要はないけれど、あなたにかけられる教育費はここまでという説明をしておくべき。それ以上の学費がかかる学校を目指すのなら奨学金を取らせる。そして奨学金は自分で返済することと釘を刺しておく」

ところが親心が過ぎるのか、「ぎりぎりまでお金のことは心配しなくていい、と言っておいて受験直前に奨学金の話をする親が多い。大学受験なら高校2年までには話し合って教育資金の上限を決めておくべきです」。

13年度税制改正で「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が決まり、祖父母が孫やひ孫に教育資金を贈与する場合は、1人1500万円まで非課税(15年12月31日までの期間限定)になる仕組みができた。最大限利用したいところだが「教育資金として1500万円贈与できる祖父母はそういません。また無理に贈与して祖父母の生活が立ちゆかなくなっても困ります」(畠中氏)。

アベノミクスによって起こるインフレと増税の時代には固定費を削り、聖域だった教育費にも手を付ける。その方法でしか、家計は守れない。