個性はビジネスでは得か、損か? 強烈な個人は組織では潰されるのか? 多くのビジネスマンに支持されている書籍『おれが浮いてるわけがない。』(五十棲剛史著)の著者で船井総合研究所常務が個性とビジネス・組織について赤裸々に語る。周囲から“浮いてしまう”ほど強い個性ながら、他人の10倍稼いできたコンサルタントが考える、いまの時代のビジネスマンの在り方とは?

今、浮いている人をうまく活用し、イノベーションを次々に起こしている企業といえば、その代表はグーグルだ。世界中から才能ある人材を集め、私たちに馴染み深い検索や検索結果連動型の広告だけでなく、さまざまな画期的な事業を立ち上げている。

近年はグーグルXというCEOのセルゲイ・ブリン直轄の組織で、最先端技術の開発を進めている。

そこでは、これまでの10倍のインパクトを社会に生み出そうと、天才的な研究者たちが日々開発を続けているのだ。

そこから発表された有名な発明といえば、「グーグル・グラス」だ。名前のとおりメガネの形をした情報端末で、最近注目が集まっているウェアラブル・コンピュータの本命といわれている。私も試しに装着してみたが、手を使わず声だけで操作できる体験は、まさに近未来的で心が躍った。

グーグルXでは、セルフドライビングカー、つまり自動運転の車も開発している。2010年にプロジェクトが発表され、これまでに10台以上の実験車を開発している。

実際にカリフォルニアの街なかで、無人のテスト走行をしているというから驚きだ。このまず「やってみよう」という発想は、人と同じでなければいけないと思っている限り、出てこないだろう。

グーグルの使命には、身体の不自由な方でも利用できる製品をつくるということが入っている。そう考えると、グーグル・グラスも、セルフドライビングカーも、声一つで目的を達成できる。世界中をバリアフリーにしようという、その発想。そしてそれを実現してしまう技術。感嘆するしかない。

また、グーグルでは「ルーン・フォー・オール」というプロジェクトも進めている。現在、世界中でインターネットにアクセスできている人口は35億人。全人口のまだ半分だ。

グーグルはそれを、世界の全人口にまで広げようとして、バルーンを成層圏まで飛ばしている。バルーンといっても、普通の風船ではない。ソーラー発電や通信設備を搭載したハイテク巨大バルーンだ。

これを、アフリカの奥地の上空に飛ばせば、アンテナを設置するだけでその家はインターネットが使えるようになる。これまでにもう1万個のバルーンが上げられているという。

「風船でインターネットをつなげましょう」などと言えば、普通の会社ではその人は頭がおかしくなったと思われるだろう。しかしグーグルでは、それがアイデアとして評価され、実現のためにチームが力を発揮する。まさに浮いている人を活かす企業なのだ。

アメリカで公開された『The Internship』という、グーグルが採用のために行うインターンシップをテーマにした映画でも、同社が人材の多様性を非常に重んじていることがわかる。

グーグルでは「グーグリネス」といわれる「グーグルらしさ」が評価される。それは、テストの点数などで測れるものではない。多様な基準で人材をみることができる組織は、浮いている人に向いている。

※本連載は『おれが浮いてるわけがない。』(五十棲剛史 著)からの抜粋です。