時間が足りないと嘆く経営者は多い。そうした会社では社員も時間に追われている。なぜ時間が足りなくなってしまうのか? 経営者は時間とどのように向き合うべきなのか? 会社を強くする時間の仕組みとは? 経営者の視点から時間術を語り、経営者のみならず一般社員からも多くの支持を得ているのが『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』(小山昇著)だ。経営のカリスマとして全国の社長から厚く支持される小山氏が時間の使い方について語った。

社長は、自分の判断1つで、会社が良いほうにも悪いほうにも、動く立場にあります。それを考えると慎重にならざるを得ない。そのために決断が遅れます。

それはよく考えてみると、おかしなことです。そういう人が1番間違っているのは何かというと、社長である自分が判断することです。

判断を間違うのは、社長や幹部社員が判断するからです。それは間違いです。では誰が決めるのかというと、決めるのはお客様です。

さらにいえば、自社のライバルは競合他社ではありません。1番のライバルは、時代です。時代が変わると、判断を変えざるを得ないです。

誰もがITツールを使う現在、ITツールを使わないわけにはいかない。仕事の効率化とスピードアップのためにiPadを導入しよう、という決断になる。社長がiPadを好きだとか嫌いだとかは関係ない。業務改革をしなければお客様が離れていく。ライバル会社に勝つためには買うしかありません。

もっと時代を遡って考えてみましょう。馬と荷車しかなかったころ、自動車が普及し始めた。馬でも荷車でも物は運べるけれど、よそが自動車を使い始めて自社に自動車を導入しなければ、会社がなくなってしまいます。

そんなとき、「自動車を買おうかどうしようか。でも高いしな。壊れるかもしれないしな。でも必要だし……」と何日も悩んでいるようでは、経営者は務まりません。新しいことは、とりあえずチャレンジしてみる。体験してから考えればいいのです。今のように変化の速い時代は考えちゃいけない。考えても仕方がないことは考えなくていいのです。

今、毎月の小遣いが1万円だとします。これがいきなり1ヵ月1000万円になったら、どうやって使いますか。想像することすらできません。クルマを買ったところで、350万円ぐらいでしょう。あと650万円残ってしまいます。

つまり人間は1万円にゼロが3つ付いて1000万円になっただけで、もう考えられなくなる。ゼロが3つ付くことを、キロという。コンピュータなら、キロ、メガ、ギガという単位で増えていきます。テラバイトになると1兆以上ですから、後ろにゼロが12個ついている。こういう時代は、考えられない。考えられない時代に考えたところで、間違った答えを出すか、思考停止に陥るだけです。

そんなときはまず人に聞くことです。これが1番簡単。聞くのはタダです。

それなのにダメな社長は自分1人で悩んで挙げ句の果てにノイローゼになったりする。

聞くのが恥ずかしいのでしょうが、1人の人間が何でもかんでも知っているはずがない。聞くのが恥ずかしいのではなく、聞かないで問題を解決しないことが恥ずかしいのです。早く解決しないと、自分の心も傷ついてしまい、また悩んでしまう。そんなのはつまらないプライドでしかありません。

それでも決められなかったら、実際に触ってみる、行ってみるしかない。体験してみることで、ようやくどんなものか分かる。それから方向を調整していけばいいのです。

それなのに自分からはアクションを起こさないで、冬眠から目覚めたクマが穴の中から世の中がどうなっているかと様子を窺ってばかりではダメです。私はこういう社長を“穴熊社長”と呼んでいます。

見切り発車で行動するのが1番いい。何事も50%成功できると思ったらGOです。

 【社長の時間術】見切り発車こそ、正しい決断

※本連載は『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』(小山昇著)からの抜粋です。