「ちょっと、お父さんが厳しく叱ってくださいよ!」妻からの突然の指令。さて、どう叱る? 子どもの心に染みる叱り方、できますか?

[1]大声を張り上げない

子どもを叱るとなると、どうしても声が大きくなってしまうもの。大きな声のほうが子どもが言うことを聞くような気がするのだが、それは全くの誤解だと明治大学文学部教授であり、教育カウンセラーでもある諸富祥彦さんは指摘する。

「大声を張り上げる。それだけでもう暴力なのです。恐怖を味わわせているだけで、子どもは萎縮してしまい、話の中身を理解できなくなり、なにがいけなかったのかもわからないままです。恐怖心を植え付け、いつもビクビクしている子どもに育てたいのならば、どうぞ耳元で怒鳴ってください」

大声で叱って子どもが言うことを聞くようになるのなら、誰も子育てで苦労はしない。つい声を荒らげてしまうのは、そのほうが簡単だからだ。

[2]感情的にならない

親が急いでいるときや、何度も注意しているのに直らない子どもの困った行動。つい感情的に怒ってしまうのだが、これもよくない。

「怒るのは感情ですが、叱るのは教育です。怒りの感情を込めてしまうと、子どもは、自分は嫌われている、親に憎まれている、自分は愛されていないと思い込んでしまいます」

叱る前に、ひとつ大きく深呼吸してからじっくりと子どもに向き合おう。

[3]理由を言わずに叱らない

「なにやってるの!」「あんたバカじゃないの!」「なんで怒られているかくらい自分で考えなさい!」と怒鳴っているお父さんやお母さんをときどき見かけるがこれもよくない叱り方。

「なぜ叱られているのかをきちんと説明しないと、子どもにはわかりません。わからないから子どもなのです。そして、してはいけない(しなければいけない)理由を粘り強く教えるのが躾であり教育なのです」

「なんで叱られているのか、理由は自分で考えなさい」は、親の手抜きでしかない。具体的になにがどうしていけなかったのか、どうすればよいのかを、子どもにわかるような言葉で説明することが大事なのだ。それはとても根気のいることだけれど、子育てはそこが肝心なのだ。

[4]大勢の前で叱らない

みんなが見ている前で子どもを叱るのもよくない。子どもにも自尊心はある。みんなの前で叱られて晒し者になったという経験はひどく自尊心を傷つけてしまう。できるだけ2人きりになる場をもうけて叱ることを諸富先生は勧める。

「お兄ちゃんを弟の前で叱ると、そこで兄弟関係に微妙な変化が生じます。子どもはその辺にとても敏感です。奥さんの前くらいならば、まあ、いいのでしょうが、できれば2人きりになって、子どもの言い分もしっかり聞いて、じっくりと言って聞かせましょう」

親から愛されていないのではと不安にさせるのが一番いけない。失敗したときどうすればよいのかを自分で考えさせるトレーニングを積ませるのだ。

[5]時間が経ってから叱らない

「さっきおまえ、こんなことしたな。ダメじゃないか!」と時間が経ってから叱っても、あまり効果はない。叱るときはすぐその場で対処しよう。

これは褒めるときも一緒で、よくできたらすぐに褒めて、親も一緒になってできたことを喜ぶことが大切。

「子育ての基本は褒める、ともに喜ぶです。小さなことでも褒めて自分が愛されているという自信を持たせる。たくさん褒めたからといって、自信過剰な嫌味な人間になるわけではありません」と諸富さん。

肯定的な自己イメージを持つ子どもに育てることが、これからの厳しい時代を生きるには必要なのだ。

[6]体罰の繰り返しはしない

「思わず子どもに手が出てしまうことだってあるでしょう。ただ、手をあげるときは、子ども自身が叩かれても仕方のないことをしてしまったと納得できるよう、子どもにきちんと理由を説明したうえで、愛情を込めて軽くピシッとやってください」

しかし、大した理由もないのにぶったり、体罰を繰り返すのは絶対によくない。それは憎しみとなり、親が困ることをわざとしたり、親を軽蔑するようになってしまうからだ。

何度言っても子どもが同じ過ちを繰り返すのは、どうしたらいいかがわからないからということが少なくない。どうすればよいのか、具体的な方法を根気よく教えるほうが行動は改善する。

諸富祥彦

1963年、福岡県生まれ。明治大学文学部教授。20年以上教育カウンセラーを務める。『女の子の育て方』『男の子の育て方』(いずれもWAVE出版)ほか著書多数。