2013年7月19日(金)

「アイスが頭痛を起こす」か?

イエス。すぐに治りますが、片頭痛だとしたらご注意を

プレジデントFamily 2011年9月号

福島安紀(医療ジャーナリスト)=構成 先生:東京女子医科大学 脳神経外科頭痛外来客員教授 清水俊彦

脳は冷たい刺激を勘違いする!?

アイスクリームやかき氷などを食べると頭痛が起こるのは、専門医の間では有名な話です。国際的にも「アイスクリーム頭痛」という言葉があるほどです。頭痛の分類では、「寒冷刺激による頭痛」に位置付けられます。

では、なぜアイスクリームで頭痛が起こるのでしょうか。実は、口腔粘膜の上のほうにある三叉(さんさ)神経の情報の読み違いなのです。予期しなかった冷たい刺激が急に口の中に入ってきたときに、「冷たい」と伝えなければいけない情報を三叉神経が間違えて脳に「痛い」と伝えてしまうために頭が痛くなるのです。この頭痛はすぐに治りますから、気にする必要はありません。

ただ、ここで注意したいのは、アイスクリーム頭痛が起こる人は、同様に三叉神経への刺激が引き金になる「片頭痛持ち」である可能性があることです。

片頭痛とは、明らかな原因が見当たらないのに月1~2回、多い人では週1~2回以上、ズキンズキンとこめかみのあたりが脈打つように痛くなる慢性的な頭痛です。日本では約840万人が片頭痛に悩まされているといわれます。子供の場合、嘔吐(おうと)や腹痛という形で現れることもあります。特に、お母さんやおばあちゃんが片頭痛持ちだと、子供がその体質を受け継ぐ確率が高くなります。

ポリフェノールは体にはよいけれど……

片頭痛は、脳の血管が拡張することにより起こります。気をつけてほしいのが「血管を広げる作用のある食材」です。チョコレート、チーズ、かんきつ類は、血管拡張物質であるチラミンを含みます。「うま味調味料」やソーセージにも血管を拡張する成分が多く含まれています。また、赤ワインやロゼワイン、オリーブオイルはポリフェノールを含み、血行を促進する健康によい食材の代表格なのですが、片頭痛の発作の引き金になる場合があるのです。

逆に、片頭痛を予防するのは、マグネシウムやビタミンB2を多く含む食材です。例えば、マグネシウムを多く含んでいるのは、大豆、大豆製品、ホウレン草、海藻類など。ビタミンB2が豊富なのはレバー、ウナギのかば焼き、カレイ、イワシ、牛乳、ヨーグルト、卵、納豆です。

お子さんの場合、片頭痛体質だと光や音などに反応して急に具合が悪くなるので、仮病、心の病、発達障害などといわれてしまうことが多いのが特徴です。早い段階で適切な治療をしないと、脳の興奮状態が強くなり、成績が急激に落ちたり、不登校などの要因にもなりかねません。また最近の研究で、過去に頻繁に頭痛が起こっていた人の多くは、脳神経が慢性的な興奮状態になる「脳過敏症候群」にかかりやすく、適切な治療を行わないと、中高年になって、原因不明の耳鳴り、めまい、難聴といった症状に苦しむ危険性が高いことがわかっています。ときどき片頭痛の発作が起きているのに、単なる疲れだと思って市販の鎮痛剤でごまかしていないでしょうか。50代、60代になって苦しむことになりかねないので、注意してください。

(肩書などは掲載当時)

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