2013年7月12日(金)

ニガウリ――炒めてもサラダでも。暑い夏はこの苦味で乗り切ろう!

dancyu 2011年6月号

福地享子=文

ニガウリではなくニガゴイ。ゴイの部分に強いアクセントをおいて、さぁ、言ってみて!「ニガゴイ」。これが私の故郷宮崎県での言い方。大人になって知ったニガウリという呼び方は、なにやらよそゆき言葉に聞こえるし、まして沖縄でゴーヤと呼ぶのを初めて聞いたときは、奇妙な感じがした。

子供のころの故郷の夏に、ニガゴイはどっかと根をおろした野菜だった。といっても八百屋で見かけた記憶はない。あちこちの庭先に、あるいは畑のすみに、緑のイボイボをつけたゴツイ姿でブラリブラリと揺れていた。あるから食べる、といった具合。朝からやかましく鳴き立てるミンミンゼミと同じで、うんざりするほどに。薄切りにして塩もみして花がつおを散らし、酢醤油をかけるのが定番で、味噌汁にも入っていたし、炒めて煮て。あとなんだっけ。どんな料理にしたってあの苦みが子供の舌になじむはずもなく、苦手だった。

それが今はどうだろう。ニガウリなしにはすまぬ夏である。

【つくり方】
ニガウリは、種とワタを取って薄切りにして、塩をたっぷり加えた熱湯でさっとゆで、氷水に放って冷やし、水気をきる。しゃぶしゃぶ用豚肉もさっとゆでる。胡麻ドレッシングをかける。苦味好きは、酢醤油だけでも。

2つに割って種とフカフカのワタをスプーンで取りだし、薄切りに。生で食べられるぐらいだから、ゆでるのもさっと。そして氷水に放つ。緑のなんとさえざえとして美しいこと。あとはもう花がつおに酢醤油。あるいはゴマドレッシングとか気分でいろいろと。炒め物は豆腐といっしょのチャンプルーが有名だが、味噌炒めもなかなかうまい。あの苦みが味噌と合うのである。豚バラ肉やなすといっしょに炒め、思い切って甘辛の味に仕立てると、ご飯が進む。

そしてジュース。種やワタをとって薄切りにして冷凍しておき、はちみつやりんごといっしょにミキサーでグイーン。へたばった午後に、これ、すごく効く。しかし不思議なもので、夏あってのニガウリなのだ。それ以外の季節には、あまり食べたいとは思わない。栄養的な面から、体がそう欲しているのだろう。ビタミンCが豊富で、レモンの約4倍とか。加熱しても壊れにくいというのがいい。

苦みは、モモルデシンという成分で、胃腸を刺激して食欲増進に、あるいは肝臓にも優しいという。生ビールにもニガウリ料理1品あれば、安心である。

築地には、年中あるが目立つのは春先から。宮古島や沖縄本島からやってくる。盛夏になると、東京近県から入荷。沖縄県では、冬から春が最盛期なのである。家庭菜園でも育てやすく、最近は東京でも、軒先に蔓つるをはわせた光景をよく見る。緑の葉をいっぱいにつけるので、日除けにも最適なのだ。沖縄や南九州のローカル野菜の東京進出。東京の夏も、暑いですからね。

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福地 享子

かつて女性誌の編集者、その後、築地の鮮魚仲卸「濱長」の看板ネエサンとして大活躍。現在は築地の書庫「銀鱗文庫」役員。ここを拠点に、築地を走り回っている。