【弘兼】ビジネスマンとして大成した人は、たとえばユニクロの柳井(正)さんにしても、ソフトバンクの孫(正義)さんにしても、そんなに先の大きな計画は考えていないんじゃないかな。とにかく目の前の仕事を一生懸命やってきただけだったと思う。たぶんチャンスって、どんな人にも平等に目の前をスーッと流れていくと思うんですよ。だから孫さんみたいにいきなりボーダフォンを買わないかみたいな話があったとき、2兆円出してもバクッと食いつく力があるかどうかでしょうね。そこまで大きな話は僕らにはこないけど、それぞれ分相応にその人なりのチャンスっていうのはくるんですよ。

新人漫画家の場合は、「こんな話を書いてみないか」という話が時々くるわけですが、「とても僕にはできません」とか、「それは僕苦手ですから」とか、「そんな絵は描きたくないです」とスルーしていると、結局気づいたときには何も仕事がこなくなって終わりということになっちゃいますね。

【俣野】その能力を鍛える意味でも、上司からのオーダーは即断即決で受けるべきだと思うんです。これ、おいしい仕事かな、どうかなといちいち損得勘定するんじゃなくて。即断即決は訓練次第でできるようになりますから、普段から「その仕事、私にやらせてください」と言えるようにしておくべきだと思います。

※この記事は書籍『プロフェッショナルサラリーマン 実践Q&A編』からの抜粋です。

俣野成敏(またの・なるとし)●1971年、福岡県北九州市生まれ。1993年、東証一部上場のシチズン時計(株)入社。安息の日もつかの間、30歳の時に半世紀ぶりの赤字転落による早期退職募集の対象になる。ダメ社員には転職や起業の選択肢もないことを痛感するとともに、退職を余儀なくされた年配者が自分の将来と重なり一念発起。2002年、経験や人脈の一切を欠く状態からアウトレット流通を社内起業。老舗企業の保守的な逆風の中、世界ブランドが集う施設で坪売上上位の実績を積み、30代で年商14億円企業に育てあげる。2004年に33歳でグループ130社の現役最年少の役員に抜擢。2011年にはメーカー本体に帰還、40歳で史上最年少の上級顧問に就任。同年出版した著書『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)は、翌年10月に出版された図解版と合わせてシリーズ累計11万部のベストセラーとなる。amazon.co.jpの2012年間ランキング(ビジネス・自己啓発)で33位に入賞。2012年6月、独立。複数の事業経営の傍ら、大学生や社会人を応援する活動をライフワークにしている。 http://www.matano.asia/
(構成=長山清子 写真=上飯坂真)
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