2013年7月3日(水)

JALは放漫経営だったから復活できたのか

PRESIDENT 2013年3月18日号

著者
町田 徹 まちだ・てつ
経済ジャーナリスト

町田 徹1960年、大阪府生まれ。神戸商科大学(現・兵庫県立大学)商経学部卒業後、日本経済新聞社に入社。経済部キャップ、ワシントン特派員などを歴任。雑誌編集者を経て、2004年に独立。著書に『JAL再建の真実』『東電国有化の罠』『日本郵政解き放たれた「巨人」』などがある。取材・執筆活動の傍ら、総務省タスクフォース委員や甲南大学講師も務める。

経済ジャーナリスト 町田 徹 撮影=堀 隆弘
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驚きのV字回復でコンサルが人気に

「導入いただいたJAL(日本航空)さんの再上場のお陰で、引き合いが増えて我々も驚きました。大手企業から問い合わせが入るようになったのは大きな変化です」――。

開口一番、こう言って胸を張ったのは、京セラグループで「アメーバ経営」を外販しているKCCSマネジメントコンサルティングの松井達朗取締役だ。東京・三田の本社で、1月30日に取材に応じた時である。

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売り上げは4割減も営業利益は大幅改善

JALと言えば、長年の放漫経営に加えて、航空機を購入する際のリベートを利益計上したり、年金制度を変更して何十年も先の会社負担を減らし、それをその年の営業利益のかさ上げに使うなど、あの手この手の利益操作によって、破綻の事実を隠してきた会社だ。実際に破綻する3年以上前から実態を報じ続けた筆者の言論を、訴訟を示唆して封殺しようと試みるなど、まともではなかった。利益操作が刑事処分を免れたことは不思議なくらいだし、公的資金を投入して再建を目指すことが民主党政権主導で決まった時も、2次破綻を懸念する専門家が多かった。

驚くべきことに、そんなJALがV字回復を果たし、昨年9月には、破綻・上場廃止からわずか2年8カ月という最短記録で再上場に漕ぎ着けた。2012年3月期決算では、2000億円を超す史上最高の営業利益も叩きだした。

こうなると、再建を陣頭指揮した稲盛和夫京セラ名誉会長の手腕とともに、その経営手法であるアメーバ経営の評価もウナギ登り。稲盛関連本の売り上げは100万部を超えて、KCCSにも極意を伝授してほしいとの問い合わせが相次いでいるという。20年以上もデフレ経済が続き、栄華を極めた日本の電機メーカーが相次いで経営危機に陥る中で、閉塞感に苛まれている企業は多い。活路を求めて、他に例のない経営システムとして外販しているアメーバ経営に人気が集まるのは、自然な流れなのかもしれない。

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