――ほかにも気をつけることは?

【中村】根を詰めて仕事される完璧主義の方は、心臓病を発症する可能性がそうでない方の2倍あるんです。それに脂質代謝異常があると、血管中の硬化が進んだときに心臓にきちゃう。

日本人の場合、体重だけで見てはいけません。痩せ形の糖尿病患者が多いんです。Nさんの場合も、この体重で異常値がいくつかあるというのは、体の耐糖能という能力があまり高いほうではないのでは。内臓じたいの機能がデリケートで、そんなに強くないんだと思います。だから、運動していれば食事はどうでもいいってことじゃなくて、やはり内臓に負担をかけない、体が喜ぶ食事を心がけたほうがいいかも。

――どういう食事ですか?

【中村】やはりよい油を使ったもの。それから、食事の際は野菜などの硬いものから食べてください。空腹時に口当たりのよい糖質や揚げ物から食べると、血糖値とインスリンの値がポンと上がっちゃうんです。インスリンは肥満ホルモン。これらをゆっくりゆっくり上げるよう硬いものから食べると太りません。

――運動の必要を感じて、リバウンド防止のための筋トレを続けてます。

【中村】素晴らしい! 運動をやめてしまうと、この世代は筋肉量が毎年0.5%ずつ減って、男性は早期に性ホルモンが出なくなり、男性更年期になってしまう。睡眠はどれくらい?

――睡眠は約5時間程度です。

【中村】慢性の睡眠不足でしょうか。寝ればいい、休めばいいではなくて眠りの質を高めることを考えましょう。同じ時間だけ寝ても、質のよい睡眠が取れないと成長ホルモンが出ず、だるさが取れません。睡眠前に体温上昇、睡眠中に体温が下がるといい眠りが取れるので、寝る1~2時間前の入浴がお勧めです。

――もうちょっと早く帰れれば……。

【中村】ぐずぐず飲まない(苦笑)。

国立スポーツ科学センター メディカルセンター アスリートクリニック 医学博士
中村格子

1966年、岩手県生まれ。横浜市立大学医学部卒業。2009年より現職。日本オリンピック委員会医学サポート部門員。著書に『実はスゴイ!大人のラジオ体操』ほか。
(構成=プレジデント編集部 撮影=石橋素幸)
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