いま会社を辞めたら、いくら退職金がもらえるか知っているだろうか。非正規社員から正規社員にも拡大するリストラの嵐の中、辞職するしかないとなった場合、辞め方によって退職後にもらえるお金の額は大きく変わってくる。

まず頭に入れておきたいのは、「自己都合」か「会社都合」か。退職のパターンには、定年や契約期間の定めがある場合の「期間満了」と「中途解約」があり、中途解約の場合は、さらに「会社都合」「自己都合」「合意解約」の3種類に分けられる。整理解雇など「会社都合の解雇」を実施するには一定の要件が必要となり、割り増しで退職金が支払われるケースが多い。

俗に失業保険といわれる雇用保険も、たとえば被保険者期間20年以上の場合には、給付日数が45歳以上~60歳未満の人で、会社都合は330日、自己都合だと150日と倍以上違う。月給40万円の人なら、約120万円も差がでる。

ところが、退職勧奨と称し、従業員を自主的な退職(自己都合退職)に追い込もうとするケースが少なからずある。「解雇扱いだと、再就職活動に不利になるから」「形式上、とりあえず書類を出してほしい」などと巧みに語り、退職願を提出させようとする。なかには、雇用保険の部分だけ会社都合、退職金に関しては自己都合でと言われる場合もあるようだ。会社の退職金規定によっても異なるが、一般的に自己都合であれば退職金の支払額を抑えられる。加えて、中小企業の場合、雇用関連の助成金が打ち切られる、解雇をめぐる労働争議の危険がある、といった理由からである。

しかし、いったん退職願を出してしまうと、途中のやりとりにかかわらず、自己都合と見なされる可能性が高い。また、懲戒解雇でもない限り、退職の理由などは再就職の際にあまり関係がない。合意解約の場合は、退職金の扱いについても合意書に盛り込んでおくと安心だ。

そもそも退職金は、法的に支払いが義務付けられているものではない。退職金の計算方法も勤続年数で決まるタイプ、役職が加味されるタイプなど、会社によってさまざまであり、詳細は就業規則に明記することが義務付けられている。退職する予定がなくても、日ごろから会社の就業規則をチェックし、退職金規定などについて理解しておくことが大切だ。