コンサルティングに興味がない理由

やりたいことは全部やってきたから、やり残したことはない。

仕事でやりたいことは何かといえば、自分自身が非常に恵まれた国際経験をしてきたので、これを次の世代に伝えることだ。この仕事はマッキンゼーを辞めて、都知事選に敗れてからやってきたことだし、これからもずっとやっていきたいと思っている。

コンサルティングによる個別の問題解決にはもうほとんど興味がない。コンサルティングというのはクライアントの実行力、組織能力を見極めながらアドバイスしていくものだが、今時、問題を抱えた企業のコンサルティングを引き受けたら、ミスマネジメントの根源である経営トップに対して「まずあなたが辞めなさい」と言わなければならない。

私がマッキンゼーでコンサルティングをやっていた時代は、「こうしたらどうですか」と提言すると、「やろう」という意志と執行能力が当時の経営者にはあった。今は言っていることの半分も理解できない経営者が多い。会社が遭遇している問題の大きさ、改革のために必要なことに対する経営トップの理解と現実のギャップがあまりに大きすぎて、まともにコンサルタントが成り立つと思えないのだ。

だから個別のコンサルティングを積極的にやっていこうという気にはならない。それよりも自分で問題解決する力を身につけてどんな時代にあっても生きていける人材、グローバルに活躍できる人材を育てたい。どれだけの余生が残っているかわからないが、人材を残していく仕事の方が有効な時間の使い方なのだと思う。

それがすなわち今やっているビジネス・ブレイクスルー(BBT)の仕事である。