今までに体得した暗黙知を形式知に

社員の成長を促す教育研修体系においてもグループ共通の研修と個別企業の研修という両輪によるシナジーを目指している。持ち株会社が運営する「みずほユニバーシティ」はグループの社員を対象に、外部リソースを活用した高度な教育プログラムを提供する役割を担う。たとえば若手社員を公募で40人選抜し、MBAで学ぶテーマを集約した講義と事業戦略策定を行う4カ月の研修、同様に課長クラスを公募で選抜した研修では、経営知識の修得と最終的にみずほの経営課題に対する提言を行う。

「たとえば、みずほ銀行の個人戦略をどうするべきか、あるいは証券戦略などの重要課題について、出身会社が違う社員が共通の課題として討論し、発表する。人材交流を通じてグループ人材としての意識を醸成し、みずほの経営課題を共有する場となっている」(倉中人事部長)

それに対して各社個別の研修は、それぞれの分野ごとに実務面での高度の専門知識の修得と能力発揮を目指している。とくにみずほは近年2400~2500人規模の新卒大量採用を実施しているだけに、いかに戦力として早期に育成するかが個別研修の重要な課題でもある。

たとえば、みずほ銀行の法人営業担当部門の人員は約2500人、うち新人が550人を占める。同社の法人業務部では07年10月から「Be Profe ssional!」と題する独自教育を実施している。大きく基礎教育と実務スキル向上の2つに分かれるが、基礎教育では成長・育成の風土改革を目指した5つのメニューを用意している。一つは高業績者の行動パターンを調査・分析し、それを10カ条にまとめた「Be-Pro憲章」の周知徹底だ。

内容は実務主体であり、たとえば第二条は「懐に入れ。自分を知ってもらい、会話の糸口を増やせ」。理解を深めるために一緒に配布されたヒント集には「まず自ら心を開く。自分の趣味や好きなスポーツ、家族構成などを語り、自分をよく知ってもらう」「人生の先輩へプライベートのことを相談してみる」といった虎の巻に近い内容が記されている。

「今までは先輩とお酒を飲んだ機会などに密かに教えてもらうノウハウだが、いわば先輩社員が体得した暗黙知を形式知にできないかと考えて作成した。新人が多いだけに先輩の知恵を自ら学び、体得するツールとして役立てることを期待している」(みずほ銀行法人業務部業務チーム・櫻木伸生参事役)