言うまでもないことだが、財務の健全性は企業にとって重要な要素である。その財務の健全性を表す指標に「負債資本倍率(DEレシオ)」があるが、旭硝子では2014年12月期にDEレシオが0.5倍まで下がる見通しだという。ちなみに11年12月期は0.57倍、12年12月期は0.54倍である。

DEレシオは「Debt Equity ratio」の略で、「返済義務のある有利子負債が、株主資本の何倍か」を表す指標である。「有利子負債÷株主資本(自己資本)」で計算され、数値が低いほど、健全が高いことを示す。

有利子負債は長・短期借入金、社債など、前述のとおり返済義務がある資本で、「他人資本」と呼ばれる。対して株主資本とは返済義務のない「自己資本」である。具体的には資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式などが株主資本に当たる。

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DEレシオの計算例

たとえば、借入金が150億円、社債が250億円の場合、有利子負債は400億円となる。これに対し、資本金が200億円、利益剰余金が200億円だと、株主資本は400億円である。結果、DEレシオは「400億円÷400億円」という計算の結果、1倍となる。

すなわち、1倍ということは、有利子負債が自己資本と同額であることを示す。「負債は株主資本で賄える水準であることが望ましい」という財務管理の価値観があり、1倍であれば決して悪い水準ではない。ましてや0.5倍になるという旭硝子は、相当に優れた水準といっていい。

また、DEレシオは長期の支払い能力を表す指標として用いられ、社債の格付けや、金融機関が融資を行う際の条件決定に利用されることも多い。指標の水準が高くない場合や悪化が懸念される場合には、その後の経営状況などによって融資条件が不利な方向へ変更される可能性が高まる。