還暦の60歳。「あなたにとってW杯出場の意義は?」と問われると、ザッケローニ監督は淡々とした口調で答えた。

「わたしが日本に呼ばれたのはW杯に出場するためで、きょうそれが決められたということ。ただ、それだけ」

W杯予選はタフな戦いだった。チームの成長については、数字を出しながら説明する。

「チームとしてよりチャンスをつくれるようになった。相手に自分たちのピンチをつくらせない中でチャンスをつくるというバランス力が上がったと思う。得点を多く取って、失点の少ないバランスのとれたチームだと思う。ただもう少し、決定力、ゴールの確率を上げることは課題だと思っている」

来日してサプライズだったことは? と聞かれると、さっと左手の腕時計を見た。

「今2013年6月4日の午後10時50分になるが、この3年間でサプライズだったことを挙げていったら、来年のW杯になっても終わらない」

イタリアのエミリア=ロマーニャ出身。地元メルドラでサッカー選手をしていたが、病気やけがに苦しみ、20歳を前に引退した。

日本食ファンである。チューブ入りのワサビが大好物で、白いご飯にそれを混ぜて食べることもあるという。周囲の評は「真面目な性格」。いつもサッカーのことを考えている。

「コンフェデレーションカップ、ワールドカップと、参加するだけにとどまらず、そこでいい結果を残したい。そのためにまた、いい向上心を持ってやっていくだけだ。まだW杯予選が1試合残っている。そこも大切に戦っていきたい。理想としている姿に向けて、課題の修正なり、向上なりを図っていかないといけないのだ」

※追記:6/24 初稿文中の《こわい時がある。マフィアのそれと似ている。》を、《こわい時がある。》に修正します。当初、編集部では慣用表現の範囲と判断しましたが、誤解を招く可能性があると気づき、著者・松瀬さまのご了解を得て上記修正を行う次第です。(オンライン編集部)

(松瀬 学=撮影)
【関連記事】
経営学者が分析&解説! ザック流マネジメント「3つの秘密」
サッカー日本代表ザッケローニ監督 直撃120分インタビュー
負けない組織はこうつくる【前篇】
「侍ブルーのエース」武士道の「勇」で3ゴールを
サッカーW杯―巨大な広告ビジネスの舞台裏【1】
『W杯に群がる男たち』田崎健太