弘兼憲史
漫画家、『島耕作』シリーズ作者

俣野成敏

起業家、『プロフェッショナルサラリーマン』著者

【俣野】憧れの弘兼先生と対談できて光栄です。なんといっても「島耕作」は日本一有名なサラリーマンですから。

【弘兼】実は『社長 島耕作』は、今年(2013年)の7月で終わるんです。物語のなかでは今度の株主総会で社長を退任しますので、次は『会長 島耕作』が始まります。

【俣野】ついに会長ですか。

【弘兼】一応代表権のある会長ですが、たいていは会長になると、「社長、あとは頼むぞ」という感じになりますからね。だから島耕作の活躍も、今までのように会社の業績を上げることだけに縛られず、日本経済全体をよくするための活動が主になっていくと思います。有識者懇談会のメンバーになるとか。

【俣野】経団連の会長になるとか(笑)。

【弘兼】そうかもしれない(笑)。今までよりも大所高所のテーマを扱う漫画になるので取材が大変になりそうです。

【俣野】サラリーマンの世界以外を描くわけですからね。弘兼先生のサラリーマン経験は3年間でしたよね。

【弘兼】僕は昭和45年に松下電器産業(現パナソニック)に入社して、48年の7月まで宣伝の仕事をしていました。入社3年目に商品の展示の仕方や広告の手法などを学ぶため、ニューヨークへの転勤を打診されたのですが、ちょうどそのころ、そろそろ子供のころからの夢だった漫画家になりたい気持ちが高まっていたので、それをきっかけに会社を辞めたんです。

【俣野】もしそれがなかったら、まだ……。

【弘兼】ニューヨークに行ったら行ったで面白くなって会社を辞めなかったかもしれない。今ごろは定年退職して、鮒釣りでもしていたかもしれません(笑)。でも結局どの会社に行っても、たぶん漫画家にはなっていたと思うんです。

【俣野】そこですよね、1番のポイントは。