ところで、転職や入社のときなどに提出する履歴書には「賞罰」の欄がある。この罰とは当然、刑罰も含まれる。罰の範囲に諸説はあるが、速度超過であろうが、前科者はこの欄に前科を告白しなければならないのか。

履歴書の賞罰欄の特に「罰」については、高度なプライバシー情報なので書かなくていいという見解もあり、法律家の間でも見解が分かれる問題だ。だからといって「プライバシーなので書きません」と宣言すれば、「何かあるんですね」と疑われ、かえって厄介なことになりかねない。また、「なし」と書けば虚偽記載になる。

もちろん、民間企業がそれが嘘かどうかを確認するためには、本人について刑罰を科した確定判決を探す必要があるが、手間が大変だ。しかし、酒の席などで「実は俺、前科者でね」などと口を滑らせたりすると、虚偽記載が発覚して面倒なことになりかねない。

現実問題として、スピード違反は、単にスピードが速いかどうかに加えて、事故の危険度も上がるし、事故を起こしたときの被害も重大になる。自分がコントロールできないほどの猛烈な速度で人身事故を起こせば、危険運転致死傷罪に問われる可能性もある。もはや反則切符か前科かなどといっている場合ではなくなる。

ちなみに私自身は、長年、交通事故事件を多く扱ってきた経験から、自分の車を廃車にした。また乗るかもしれないが、加害者にならないためだ。車という道具は、非常に便利ではあるが、危ない道具でもある。注意して運転していても、加害者になってしまう例を数多く見てきた。

事故によっては、弁護士資格を剥奪される恐れもあり、仕事もなくなってしまう。スピード違反が単なる数字の多い少ないではなく、スピードが上がることで高まる危険性、その影響を常に意識しておきたい。

(構成=斎藤栄一郎)
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