彼らに共通するのは、与えられた営業目標の何倍もの成績を達成しているところです。業界を問わずトップセールスの人々は平均的な営業マンに比べて、10%や20%の差ではなく、何倍という段違いの数字をあげています。それは彼らが普通の営業マンとはまったく違うやり方をしているからです。

図を拡大
日本人で生き残る4つのタイプ

営業目標に対して普通の営業マンは、「どうやって達成しよう」と考える。ところが彼らは、「目標の2倍、3倍の売り上げを達成するにはどうすればいいか」と発想します。それだけ高い目標には、他の人の真似や、これまでと同じやり方を続けるだけでは絶対に到達できません。何かしらの根本的な革新が必要になります。そこで彼らは自分の商品のマーケットについて徹底的に研究し、他の誰もやっていないやり方を発明する。だからダントツの数字が出せるのです。

私はよく仕事に悩む若い人に「楽勝でできることを徹底的にやるといい」とアドバイスします。10種類の仕事があるとすれば、なかには1つや2つ、それほど労力をかけずともうまくできる仕事があるはずです。そこに時間を集中して投資するのです。それは自分の「強み」になります。工業製品のように規格化された能力を求められるコモディティ人材は、突出せずに自分の弱点を正すことが求められます。だから、脱コモディティ化するためには、自分の持つ強みを活かして、何かに突出することが必要なのです。

「一生懸命やっているのに成果が出ない」という人は、努力の方向自体が間違っている可能性があります。それに気づかず、「もっと効率的にやればうまくいくのではないか」と考え、「ライフハック」や「GTD」といった仕事術に手を出したところで、効率化できるのはせいぜい1割か2割です。

資本主義の歴史を振り返ると、10%や20%の改善の積み重ねではなく、100%以上の非連続的な変化が起きることで、経済が拡大してきたことがよくわかります。たとえば自動車産業を生み出したアメリカのヘンリー・フォードは、馬車の代わりに「鉄製の速い馬」をつくろうとは考えず、自動車という新しい概念の乗り物を大量生産することで、社会に巨大なイノベーションを起こしました。