リフォームの仕上がりに満足できなかったらどうしたらいいか。まず注意すべきなのは「完成」の定義である。最終の工程を終了することをもって完成というが、それには業者が完成を報告したうえで、施主が確認を与える必要がある。

別の言い方をすると、施主が認めなければ工事は「完成」しない。もし仕上がりに不満があれば、この時点で手直しを要求すればよい。

「トラブルを見越して、着手金と完成後の残金払いの二段階で支払うようにするといいでしょう。着手金と残金との割合は5対5くらいでいいのでは」(不動産コンサルタントの長嶋修氏)と勧める専門家もいるほどだ。

業者とのトラブルで、最もこじれがちなのが「仕上がりのイメージが違う」というケースである。食い違いが生じるのは施主と業者との間でイメージが共有されていないから。一級建築士
の御前好史氏が勧めるのは「雑誌などの事例写真をカラーコピーして業者に渡し、施主とのイメージの差を埋めておく」ことだ。

ビジュアル面だけに限らない。

「住宅のどんな不満を解消するために、何の工事を発注するのかをメモ書きにしてから発注すれば、誤解の余地が少なくなります」(御前氏)

イメージの不一致のほか、費用負担の問題も揉めやすいポイントである。代表的なのは、工事内容の追加や変更だろう。

「現場で簡単に『これも追加しておいて』と依頼する方がいますが、無料の工事というのはありません。途中で追加・変更するのは避けたほうがいいでしょう」(御前氏)

そもそも現場の職人には工事を変更する権限がないので、その場で伝えても混乱するばかりである。やむなく追加・変更を頼むときは、「言った、言わない」の水掛け論になるのを避けるためにも、口頭ではなく必ず書面で行うこと。これに限らず、発注内容や覚書を一冊のノートにまとめておけばトラブルの予防になるうえ、クレームをつける際の根拠にもなる。

また、リフォーム工事では「床をはがしたら土台が腐っていたので補強工事を行う」といったケースが少なくない。これには別途工事費がかかるが、あらかじめ取り決めがないとトラブルに発展しかねない。

難しいのが「完成」を確認してからのクレームの付け方である。