Private Cafe Cozzy 
佐々木ユウコ氏

入り口で靴を脱いでスリッパに履き替える。フローリングの床とソファ、サイドテーブルには手づくりのアクセサリー。Private Cafe Cozzyは、まるで友達の家のような雰囲気で客を迎えてくれる。

「自分が欲しかった場所をつくった。それがこのお店です」とオーナーの佐々木ユウコは話す。2年前までは楽天に勤めて、人材育成などを担当していた佐々木がカフェを開店したのは、ちょっとしたきっかけだった。

「そろそろインターネットの世界から離れてリアルに戻ろうと思っていたんです。リアルに戻るなら接客業をやりたかった。そんなときに普通のコストよりも安く開店できる場所が、家の目の前で空いた。この波に乗っちゃおう、と」

11年2月に決めて、2カ月後にはオープンした。突然の転身にも思えるが、気持ちの準備はずっとしていた。

「もともと、10年単位で自分の生き方を考えたいという気持ちがあったんです。2009年に50歳になって、定年までの10年を考えたときに、何か別のことをしたいと思いました。会社が大きくなって、意思決定のスピードが遅くなり、仕事に閉塞感を感じるようにもなっていました。私はゼロから事業を立ち上げるのが大好きなのですが、そういうことがやりにくくなっていたんです」

転職活動もしていた。一方で人材教育の研修などを手がけるベンチャー企業の立ち上げなども考えた。しかし転職は条件が合わず、起業には自信が持てなかった。そこで、大きなものをつくるよりは、小さくても自分が落ち着いてできることから始めようと思った。

大学を卒業後、日本公文教育研究会(公文)に就職するが、結婚を機に退社。それから3人の男の子を立て続けに産んで、一時期は仕事をすっぱり辞め、専業主婦となる。しかし専業主婦の生活がどうにも合わず、公文教室のアルバイトで仕事復帰。その後、埼玉県鶴ケ島市の中央図書館で司書としてフルタイム勤務に戻り、アメリカのウェブディレクトリサービス会社ルックスマートの日本法人に転職。そして楽天ブックスに入社。