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2つ以上の通信手段を持っておくのがお勧め

スマートフォンを使っている場合には、携帯電話網でなく「無線LAN」を使って通信をしてみよう。カフェや駅、コンビニエンスストアなどには「公衆無線LANサービス」がある。通常この種のサービスは有料だが、東日本大震災の経験から、公衆無線LANサービスを運営する各社は、大規模災害時、通信混雑の回避策として、無料開放するよう、方針を定めており、いざというときには「サブ回線」として使える。またセブン&アイ・ホールディングスは、傘下のセブン-イレブンやイトーヨーカドーなどで、無料の公衆無線LANサービス「セブンスポット」をスタートした。まだ東京23区での展開に限られるが、身近にある店が多いので、いざというときには頼りにしたい。

平時から使い方を覚えておくと便利なのが「災害伝言板」だ。各携帯電話事業者は、大規模災害が発生した際、自分の電話番号宛にメッセージを残す機能を用意することになっている。これが災害伝言板だ。自分が使っている携帯電話事業者の災害伝言板は、他の携帯電話事業者の回線や、パソコンのインターネットからも確認できる。情報を登録したことを、自動的に家族などにメールで伝える機能もあるので、一度のアクションで、家族全員に安否を伝えられる点もありがたい。被災地から連絡を取りたい場合には、無理に何度も家族に連絡しようとするのでなく、災害伝言板などを使ったほうが、確実だし効率もいい。

なにより重要なのは、いざというとき、どうやって連絡するかを話し合っておくことだ。電話がつながらなければメール、メールがつながらないときは災害伝言板といった感じで、「どの手段を使って、どうやって連絡するか」をお互いに確認しておこう。書面にして残しておくのもいい。

なにか起きてから慌てるのでなく、なにかあったときどうするかを知っておくことが、安否確認にとってもっとも重要なこと。ここでも「備えあれば憂いなし」だ。

ジャーナリスト
西田宗千佳

1971年、福井県生まれ。著書多数。近著に『災害時 ケータイ&ネット 活用BOOK』(共著、朝日新聞出版)がある。
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