2013年5月21日(火)

購入意欲の測定にブログが使える

「クチコミで売上10倍」CGMマーケティング入門【2】

PRESIDENT 2011年8月1日号

著者
石井 晃 いしい・あきら
鳥取大学工学研究科 機械宇宙工学専攻 教授

石井 晃1957年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。理学博士。2008年より科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業研究員。デジタルハリウッド大学ヒットコンテンツ研究室客員研究員。専門は計算物理学手法を用いた表面科学。

石井 晃 構成=小川 剛 撮影=市来朋久
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数理モデルというのは数式によって記述されたモデルのこと。自然科学や社会科学の現象を数理的な思考で考え、記述し、予測可能にすることを「数理モデルを構築する」といいます。「ヒット現象の数理モデル」をわかりやすく説明するために、映画におけるヒットのメカニズムで考えてみましょう。

人を映画館に向かわせる要素は大きく分けて3つあります。1つは広告やテレビ番組などで紹介されている情報。マスメディアを使った「宣伝・報道」です。

2つ目は知人からの紹介や推薦。「あの映画よかったよ」といういわゆるクチコミです。知人から知人へ会話によって伝えられるので、私たちはこれを「直接コミュニケーション」と呼んでいます。

クチコミで評判を広げることはヒットをつくり出すうえで重要ですが、大ヒット商品ではそれにとどまらず、街のいたるところでその話題が交わされています。これが3つ目の要素である街中の噂・評判です。通勤電車の中、街を歩いているとき、あるいは居酒屋にいるとき自然に耳にする噂に影響されて映画館に足を運ぶこともあるでしょう。ネットというバーチャルな空間で、知らない誰かが書いたブログやツイッターから影響を受けることもあります。前述の直接コミュニケーションに対して、特定できない他人の会話が漏れ聞こえてくるので、こちらは「間接コミュニケーション」といえます。

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図3:ヒット現象=購入意欲は数式で表せる

このようにある商品がヒットする際は、「宣伝・報道」「クチコミ(直接コミュニケーション)」「街中の噂(間接コミュニケーション)」の3つが影響していると考えられます。私たちが提案する「ヒット現象の数理モデル」とは、人の消費行動に影響を与えるこの3つの要素をモデル化したものです。

図3はこの数理モデルの中心となる数式で、微分方程式に基づいています。ここでは基礎編として数式の持つ意味を簡単に説明しましょう。

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