島耕作的な生き方は終わらせるべき

【田原】島耕作は、社会起業に興味ないのかな。

【駒崎】ええ。でも、社会のことは語るんです。彼は自分の住む地域社会には関心がないけれど、「このままでは日本はダメ。サムスンに負けてしまう」みたいに、大文字の日本を語るのは好きなんです。

【田原】ほう、朝日新聞みたいだ(笑)。

【駒崎】そう。朝日にも仲のいい人がたくさんいるので言いづらいのですが、何か変えようとするなら、その対象に触れないといけないはずです。でも、典型的知識人にはそれが足りなくて、概念としての日本を語って満足しているように見えます。話を戻すと、それは企業人も同じ。島耕作は企業のことをよく知っていますが、社会に触れていない。その意味で、彼は会社人であって、社会人ではないのです。

【田原】これからは、会社人の生き方じゃダメですか。

【駒崎】もちろん会社のために一生懸命働いてもいいと思います。でも僕らは、会社に所属すると同時に、社会の住人でもあるという多元的な所属をするべきだと思います。多元的に所属していれば、会社が社会に対してよろしくないことをしたときにも、迷うことなくいさめたり、内部告発できます。島耕作的なモデルを終わらせて、多元的に所属する個人というモデルをつくっていきたいですね。